ワンルーム投資 わんるーむとうし
ワンルーム投資とは、マンションの一室を購入して賃貸に出し、家賃収入を得る投資のこと。少額から始められる一方、一室ごとの収支が空室に左右されやすく、毎月の手出しが生じる設計になっていることが多い。
この記事の要点
- 一室しか持たないため、空室になると家賃収入がゼロになる。平均で薄まらない
- 手出しが出るのは失敗ではなく、多くの場合そう設計されている
- 新築は引渡しの時点で中古になる。同じ部屋が中古として値付けされ直す
- 判断を決めるのは保有中の収支ではなく、売却時に残債を上回るかどうか
- 節税は税を消すのではなく、売却時へ繰り延べる側面を持つ
ワンルーム投資とは、マンションの一室を購入し、賃貸に出して家賃収入を得る投資です。区分マンション投資、ワンルームマンション投資とも呼ばれます。
検索すると「やめとけ」「失敗」という言葉が並びます。一方で、上位に出てくる解説の多くは、その物件を販売している会社が書いたものです。どちらの立場からも書かれた文章は、そのまま判断の材料にしにくい。
ここでは断定をせず、収支の構造を分解します。数字を入れれば結論は自分で出せます。
一室しか持たない、という性質
まず、この投資の性質を1つだけ押さえます。
一室だけ持つ場合
- 入居者が退去した瞬間、家賃収入はゼロになる
- その間もローン返済・管理費・税は発生し続ける
- 稼働率は 100% か 0% のどちらかしかない
平均という考え方が働かない。
複数室を持つ場合
- 1室が空いても、他の部屋の家賃で埋められる
- 稼働率が数字として意味を持つ
- ただし借入の総額も比例して増える
分散は効くが、返済の重さも増える。
「空室率5%」という前提は、一室の投資では20年に1年空くという意味ではなく、いつか来る空室の期間を平均でならした数字にすぎません。実際には、空くときはまとめて数か月空きます。
手出しが出るのは、失敗ではない
理由は単純です。物件価格に対して家賃の水準が決まっており、そこから返済と経費を引くと、多くの条件で足りなくなります。
支出の合計は月104,355円。これに対し、家賃85,000円・空室率5%なら実際に入るのは80,750円。差額の23,605円が毎月の手出しになる。前提を1つ変えれば結果は変わるので、自分の条件は計算機で確かめること。
この試算は手出しシミュレータと同じ式で出しています。金利・家賃・管理費を自分の条件に置き換えると、結果は大きく変わります。
月23,605円は、35年で約991万円になります。 この額を払う理由を説明できるかどうかが、判断の分かれ目です。詳しくは手出しにまとめました。
新築と中古で、何が違うのか
契約・引渡し
新築として購入する
価格には、建物の原価のほかに販売にかかった費用と売主の利益が含まれている
引渡しの直後
その部屋は「中古」になる
一度でも所有権が移れば、次に売るときは中古として値付けされる
保有中
家賃は築年数とともに下がりやすい
一方で修繕積立金は長期修繕計画にもとづいて上がるのが通常(国土交通省のガイドラインが目安を示している)
売却時
中古の相場で値が付く
このとき残債を上回るかどうかが、通算の損益を決める
新築が中古になること自体は、当たり前のことです。見落とされやすいのは、購入価格には販売のための費用が含まれているのに、中古の相場にはそれが含まれないという点です。
中古には中古の事情があります。取得価格は抑えられますが、融資期間が短くなりやすく、設備交換の時期も近い。どちらが有利かではなく、どこにお金がかかるかが違うと捉えるほうが実際的です。
修繕積立金については、国土交通省がガイドライン[1]で専有面積あたりの目安を示しています。提示された物件の積立金がその目安を下回る場合、将来の値上げを見込んでおく必要があります。新築で積立金が安く設定されているのは、当初の負担を軽く見せられるからでもあります。
ここに、節税の落とし穴が現れます。減価償却[3]で保有中の税を減らすと、その分だけ取得費が下がります。譲渡所得の計算[4]では取得費を差し引いて所得を出すため、取得費が小さいほど売却時の所得は大きくなります。
節税は、税を消すのではなく、売却時へ繰り延べる側面を持つということです。ゼロになるわけではありません。
サブリース(家賃保証)を見るときの点
空室が怖い、という不安に対して提示されるのがサブリースです。
契約の前に確認できること
最後の点について。重要事項説明は宅地建物取引業法[5]35条にもとづく、契約前に業者へ質問できる制度上の場です。詳しくは重要事項説明にまとめました。
向く人と、向かない人
断定は避けますが、条件の整理はできます。
条件が合いやすい
- 手出しの総額を計算し、その金額を払う理由を説明できる
- 空室が数か月続いても、家計に影響しない余力がある
- 売却の見込みを、自分で相場を調べて立てられる
- 減価償却が終わった後の収支まで見ている
条件が合いにくい
- 月額しか示されず、総額を計算していない
- 手出しを節税で取り返す前提だが、自分の所得で計算していない
- 空室のときの返済原資が、給与のほかに無い
- 相場の確認を、勧めてくれた相手だけに任せている
右の列は、物件の良し悪しではなく、判断の材料が揃っているかどうかの話です。同じ物件でも、材料が揃っていれば左に移れます。
よくある質問
ワンルーム投資は「やめとけ」と言われるのはなぜですか?
新築と中古では、どちらが有利ですか?
サブリース(家賃保証)があれば空室は怖くないのですか?
「生命保険の代わりになる」という説明は正しいですか?
何室か持てばリスクは減りますか?
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