不動産知識大全 業者が言わない数字まで、検算して解説する。
売買・契約 8分で読めます 3,188字 (2026年8月18日公開)

重要事項説明 じゅうようじこうせつめい

重要事項説明とは、宅地建物取引業者が契約の前に、宅地建物取引士をして買主・借主へ行わせる説明のこと。宅建業法35条により、説明すべき事項と書面の交付が義務づけられている。

この記事の要点

  1. 契約を結ぶ前に行うものであり、契約と同時や後に行うことは認められていない
  2. 説明するのは宅地建物取引士であり、宅地建物取引士証を提示する義務がある
  3. 説明すべき事項は宅建業法35条に列挙されており、業者が取捨選択できるものではない
  4. 買主が「聞かなくてよい」と言っても省略できない。買主のための説明だから
  5. 事前に書面を受け取って読んでおけば、当日は確認と質問の時間として使える
目次(10項目)

物件の契約を前にして、宅地建物取引士から受ける説明が重要事項説明です。実務では「重説(じゅうせつ)」と略されます。

分厚い書面を前に、専門用語の混じった説明を1時間ほど聞くことになります。眠くなる時間ですが、契約前に業者へ質問できる、制度として保証された唯一の場でもあります。

誰が、いつ、何のために行うのか

重要事項説明の位置づけ
  1. 買う意思を伝え、条件がまとまる

    買付証明を出したり、価格や引渡し時期の交渉が終わった段階

  2. 重要事項説明を受ける契約の前

    宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示したうえで説明する

  3. 内容に納得したら、売買契約を結ぶ

    ここで署名・押印し、手付金を支払う

  4. 決済・引渡し

    残代金を支払い、登記が動く

2 と 3 が同じ日に続けて行われることは多いが、順序が逆になることは認められていない。

何が説明されるのか

説明すべき事項は法律に列挙されています。業者が選べるものではありません。大きく分けると次のようになります。

説明事項のおおまかな内訳

物件そのものについて

  • 登記されている権利の内容(誰の名義か、抵当権が付いているか)
  • 法令にもとづく制限(用途地域建ぺい率容積率など)
  • 私道の負担に関すること
  • 飲用水・電気・ガスの供給、排水の設備
  • 未完成物件の場合は、完成時の形状・構造
  • 区分所有建物の場合は、規約や管理費・修繕積立金

お金と契約について

  • 代金以外に授受される金銭の額と目的
  • 契約の解除に関すること
  • 損害賠償額の予定、違約金
  • 手付金等の保全措置の内容
  • 支払金・預り金の保全措置
  • ローンのあっせんの内容と、不成立のときの措置
  • 契約不適合責任の履行に関する措置

このほか、災害に関する事項も加わっています。造成宅地防災区域、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域にあたるかどうか、そして水害ハザードマップにおける物件の所在地の説明が求められます。

当日までに、やっておくと違うこと

重要事項説明の当日にできることは限られています。その日の成否は、前日までに決まります。

説明を受ける前に

聞き逃しやすい4か所

1時間の説明のうち、後から効いてくるのは限られた箇所です。眠くなる時間帯に流れがちなところを挙げます。

契約の解除に関する条項

いつまでなら、いくら払えば、契約から抜けられるか。手付解除の期限がいつまでか。ここは金額に直結します。

期限を過ぎると、手付放棄では抜けられなくなり、違約金の話になります。その期限が具体的に何月何日なのかを、説明の場で確かめておく価値があります。

損害賠償額の予定・違約金

「売買代金の20%」といった形で書かれています。3,000万円の物件なら600万円です。

こちらが約束を守れなかったときに払う額であり、相手が守らなかったときに受け取る額でもあります。数字を一度、実額に直してみると印象が変わります。

ローンのあっせんと、不成立のときの措置

住宅ローンが通らなかった場合に契約を白紙に戻せるか(ローン特約)、その期限はいつか。

区分所有の場合の、管理費と修繕積立金

現在の額だけでなく、滞納があるかどうかも説明事項に含まれます。

前の所有者が滞納していた管理費は、買主が引き継ぐことになるのが通常です。金額が大きい場合、精算方法を契約前に決めておく必要があります。

賃貸を借りるときも、同じ説明がある

重要事項説明は、売買だけのものではありません。部屋を借りるときにも行われます。

売買と賃貸で、見るところが変わる

売買で重いところ

  • 登記されている権利(抵当権の有無)
  • 法令上の制限(建て替えができるか)
  • 手付金等の保全措置
  • 契約不適合責任の履行に関する措置

賃貸で重いところ

  • 敷金礼金など、返ってくる金と返らない金の区別
  • 契約期間と更新の条件(定期借家かどうか)
  • 原状回復の負担の範囲
  • 用途の制限(事務所使用や楽器の可否)

賃貸では、定期借家契約かどうかがとくに重要です。定期借家は期間が来れば更新されずに終了します。同じ「2年契約」でも、更新できる普通借家とは性質がまったく違います。

買主が「省略してよい」と言っても省略できない

これは覚えておく価値のある性質です。

重要事項説明は、業者に課された義務です。買主のために置かれているので、買主が放棄することはできません。「急いでいるので省略で」と言われて省略した業者は、義務を果たしていないことになります。

つまり、業者が説明を急ごうとする場合、それは業者の側の都合です。 こちらが遠慮する筋合いはありません。

よくある質問

重要事項説明はいつ受けるものですか?
売買契約や賃貸借契約を結ぶ前です。宅地建物取引業法35条は「契約が成立するまでの間に」と定めています。契約書への署名と同じ日に続けて行われることが多いのですが、それは可能なだけで、望ましいわけではありません。事前に書面を受け取り、読んでから臨めるかどうかを尋ねてみる価値があります。
説明を省略してもらうことはできますか?
できません。買主や借主が「不要だ」と言っても、業者は説明を省略できません。この説明は業者に課された義務であり、買主のために置かれているものだからです。
オンラインでの説明でも有効ですか?
有効です。一定の要件を満たせば、映像と音声のやりとりができる方法での説明が認められています。書面についても、相手方の承諾を得たうえで電磁的方法により提供することが可能とされています。要件は国土交通省の解釈・運用の考え方に示されています。
説明されなかった事項が後から問題になったら?
説明義務の違反にあたる可能性があります。業者は監督処分の対象となりえますし、事案によっては損害賠償の問題にもなります。ただし、実際にどう扱われるかは個別の事情によります。宅地建物取引業法に基づく相談は、免許を出している都道府県の担当部署や、不動産適正取引推進機構などで受け付けています。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和27年

    確認日 2026-08-18

  2. 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)

    国土交通省 令和8年4月1日施行版

    確認日 2026-08-18

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