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サブリース さぶりーす

サブリースとは、業者が物件を一括で借り上げ、入居者へ転貸する仕組みのこと。空室でも一定の賃料が入る代わりに、相場より低い額に設定され、契約後に減額されることがある。

この記事の要点

  1. 業者が一括で借り上げ、入居者へ転貸する。所有者から見ると相手は業者1社になる
  2. 空室でも賃料が入る代わりに、保証額は周辺相場より低く設定されるのが通常
  3. 借地借家法32条の減額請求は、契約に特約があっても排除できないと解されている
  4. 2020年の法律で、契約前に家賃減額の可能性を説明する義務が置かれた
  5. 借主は業者であり、借地借家法の保護を受ける。所有者から解約するのは容易でない
目次(9項目)

サブリースとは、不動産会社が物件を一括で借り上げ、入居者へ転貸する仕組みです。一括借上げ、家賃保証とも呼ばれます。

所有者から見ると、契約の相手は入居者ではなく業者1社になります。入居者が入っていようがいまいが、業者から毎月一定額が入る。この点が「保証」と呼ばれる理由です。

お金と契約の流れ

誰と誰が契約しているか
  1. 所有者 と サブリース業者 が賃貸借契約を結ぶここが本体

    業者が借主になる。これを特定賃貸借契約という

  2. 業者 が 入居者 へ転貸する

    入居者から見た貸主は業者。所有者とは直接の契約関係が無い

  3. 入居者が業者へ家賃を払う

    相場どおりの家賃

  4. 業者が所有者へ保証賃料を払う

    相場より低い額。差額が業者の取り分になる

業者は「相場で貸して、それより安く借りる」ことで利益を得る。空室の危険を引き受ける対価でもある。

なぜ保証賃料が下がるのか

ここが最も誤解されるところです。契約書に「30年一括借上げ」と書かれていても、30年間同じ賃料が続くとは限りません。

理由は2つあります。

理由1:契約に賃料の見直し条項がある

多くの契約に「◯年ごとに賃料を見直す」という条項が置かれています。見直しの結果として下がることがあります。

理由2:法律上の減額請求権がある

つまり、契約書の文言だけでは賃料の維持を担保できません。 これはサブリース業者が特別なことをしているのではなく、建物の賃貸借に共通する法律の仕組みです。

2020年の法律で何が変わったか

サブリースをめぐる紛争が相次いだことを受けて、法律が作られました。

規制ができるまで
  1. 2020年6月

    賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が公布される

    令和2年法律第60号。通称サブリース規制法

  2. 同年12月

    サブリースに関する規定が施行される

    誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、契約前の重要事項説明の義務

  3. 2021年6月

    賃貸住宅管理業の登録制度が施行される

    一定規模以上の管理業者に登録を義務づけた

この法律[1]により、業者には次のことが義務づけられました。

業者に課された義務

してはいけないこと

  • 家賃保証の内容について、著しく事実と違う広告を出すこと
  • 家賃減額の可能性を伝えずに勧誘すること
  • 事実を告げず、または不実を告げて契約させること
  • 相手が困惑するような時間・方法で勧誘すること

しなければならないこと

  • 契約の締結前に、書面を交付して重要事項を説明すること
  • 家賃の見直しがありうることを説明すること
  • 借地借家法32条により減額請求ができることを説明すること
  • 契約の解除に関する事項を説明すること

国土交通省の資料[3]には、この法律が置かれた背景がまとめられています。

解約が難しい、という性質

もう一つ、契約前に知っておく価値があるのがこの点です。

サブリース契約では、業者が借主にあたります。借主は借地借家法の保護を受けます。

つまり、所有者(貸主)の側から更新を拒んだり解約したりするには、正当な事由が必要になります。実際には認められにくく、「賃料が下がったので自分で貸したい」という理由だけでは解約できないのが通常です。

自主管理へ切り替えたい、売却したい、といった場面でこれが効いてきます。

免責期間という、もう一つの落とし穴

「空室でも入る」はずの保証賃料が、入らない期間が定められていることがあります。

免責期間が置かれる場面
  1. 引渡しの直後

    最初の入居者が決まるまでの一定期間

    新築で1〜3か月とされることがある。この間は保証賃料が支払われない

  2. 入居者の退去後

    次の入居者が決まるまでの一定期間

    退去のたびに発生する契約もある

  3. その間も

    ローンの返済・管理費・税は発生し続ける

    収入がゼロで支出だけが出る月ができる

免責期間は契約書に書かれています。「空室保証があるから安心」と考えていると、最初の数か月の返済原資を用意し忘れることになりかねません。

何か月あるのか、退去のたびに発生するのか。この2点は契約前に確かめられます。

収支計算に、どう織り込むか

サブリースを付けた場合、収支の見え方が変わります。

保証賃料が相場の85%だった場合(家賃10万円の物件)
  • 所有者が受け取る保証賃料85,000円
  • 業者の取り分(空室の危険を引き受ける対価)15,000円

差額の15,000円は、年間で18万円、35年で630万円になる。この額が「空室が怖い」ことの値段として見合うかどうかが判断の分かれ目。

この差額を計算しておくと、比較ができるようになります。 自主管理にして空室の危険を自分で持つ場合と、どちらが有利かを金額で並べられるためです。

年に1か月空く想定(約8%)なら、空室による減収は年8万円。保証の対価が年18万円なら、対価のほうが大きいことになります。空室が年3か月に及ぶ地域なら、逆転します。

地域の空室の実態が分かれば、この比較はできます。実質利回り計算機で、保証賃料と相場賃料の両方を入れて比べてみてください。

契約前に確認すること

署名する前に確かめる7点

よくある質問

サブリースなら空室は怖くないのですか?
空室でも賃料は入ります。ただし保証額が周辺相場より低く設定されるのが通常で、その差額が空室の危険を引き受けてもらう対価にあたります。加えて、保証額そのものが契約期間中に下がることがあります。空室の心配が消えるのではなく、別の形の不確かさに置き換わる、と理解するのが実際に近いです。
「30年一括借上げ」なら30年間同じ賃料ですか?
期間が30年であることと、賃料が30年変わらないことは別です。多くの契約に賃料の見直し条項があり、さらに借地借家法32条により、業者は経済事情の変動などを理由に減額を請求できます。この請求権は、特約で排除できないと解されています。
賃料が下がったら契約を解除できますか?
容易ではありません。この契約では業者が借主にあたるため、借地借家法の保護を受けます。所有者(貸主)から更新を拒んだり解約したりするには正当な事由が必要とされ、実際には認められにくいのが実情です。契約前に解約の条件を確認しておく必要があります。
法律で規制されているのではないのですか?
2020年に成立した賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、契約前の重要事項説明が義務づけられました。ただしこれは「説明させる」規制であって、賃料が下がること自体を禁じるものではありません。説明を受けたうえで判断するのは、依然として所有者の側です。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和二年法律第六十号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 令和2年6月19日

    確認日 2026-08-19

  2. 借地借家法(平成三年法律第九十号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 平成3年

    確認日 2026-08-19

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