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不動産投資 10分で読めます 3,877字 (2026年8月19日公開)

サブリース さぶりーす

サブリースとは、業者が物件を一括で借り上げ、入居者へ転貸する仕組みのこと。空室でも一定の賃料が入る代わりに、相場より低い額に設定され、契約後に減額されることがある。

この記事の要点

  1. 業者が一括で借り上げ、入居者へ転貸する。所有者から見ると相手は業者1社になる
  2. 空室でも賃料が入る代わりに、保証額は周辺相場より低く設定されるのが通常
  3. 借地借家法32条はサブリースにも適用される。最高裁が平成15年10月21日に判断している
  4. 2020年の法律で、契約前に家賃減額の可能性を説明する義務が置かれた
  5. 借主は業者であり、借地借家法の保護を受ける。所有者から解約するのは容易でない
目次(10項目)

サブリースとは、不動産会社が物件を一括で借り上げ、入居者へ転貸する仕組みです。一括借上げ、家賃保証とも呼ばれます。

所有者から見ると、契約の相手は入居者ではなく業者1社になります。入居者が入っていようがいまいが、業者から毎月一定額が入る。この点が「保証」と呼ばれる理由です。

お金と契約の流れ

誰と誰が契約しているか
  1. 所有者 と サブリース業者 が賃貸借契約を結ぶここが本体

    業者が借主になる。これを特定賃貸借契約という

  2. 業者 が 入居者 へ転貸する

    入居者から見た貸主は業者。所有者とは直接の契約関係が無い

  3. 入居者が業者へ家賃を払う

    相場どおりの家賃

  4. 業者が所有者へ保証賃料を払う

    相場より低い額。差額が業者の取り分になる

業者は「相場で貸して、それより安く借りる」ことで利益を得る。空室の危険を引き受ける対価でもある。

なぜ保証賃料が下がるのか

ここが最も誤解されるところです。契約書に「30年一括借上げ」と書かれていても、30年間同じ賃料が続くとは限りません。

理由は2つあります。

理由1:契約に賃料の見直し条項がある

多くの契約に「◯年ごとに賃料を見直す」という条項が置かれています。見直しの結果として下がることがあります。

理由2:法律上の減額請求権がある

最高裁が、サブリースにも適用されると判断している

かつては「サブリースは通常の賃貸借とは違う事業契約だから、32条は適用されない」という主張がありました。この点には最高裁の判断があります。

つまり、契約書の文言だけでは賃料の維持を担保できません。 これはサブリース業者が特別なことをしているのではなく、建物の賃貸借に共通する法律の仕組みです。

同時に、「32条があるから必ず下げられる」でもありません。 額の判断には契約時の事情が入ります。契約書の文言と法律の両方を見ないと、どちらの方向にも見誤ります。

★32条は、サブリースだけの話ではありません。 協議が調わない間の扱い、外れた分に付く年1割の利息、訴えの前の調停まで含めて賃料の増額請求と減額請求にまとめました。

★同じ法律の中に、もう1つ別の制度があります。 貸主から委託を受けて管理する形(管理受託)についての登録制度で、200戸以上の業者に義務がかかります。→ 賃貸住宅管理業の登録制度

2020年の法律で何が変わったか

サブリースをめぐる紛争が相次いだことを受けて、法律が作られました。

規制ができるまで
  1. 2020年6月

    賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が公布される

    令和2年法律第60号。通称サブリース規制法

  2. 同年12月

    サブリースに関する規定が施行される

    誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、契約前の重要事項説明の義務

  3. 2021年6月

    賃貸住宅管理業の登録制度が施行される

    一定規模以上の管理業者に登録を義務づけた

この法律[1]により、業者には次のことが義務づけられました。

業者に課された義務

してはいけないこと

  • 家賃保証の内容について、著しく事実と違う広告を出すこと
  • 家賃減額の可能性を伝えずに勧誘すること
  • 事実を告げず、または不実を告げて契約させること
  • 相手が困惑するような時間・方法で勧誘すること

しなければならないこと

  • 契約の締結前に、書面を交付して重要事項を説明すること
  • 家賃の見直しがありうることを説明すること
  • 借地借家法32条により減額請求ができることを説明すること
  • 契約の解除に関する事項を説明すること

国土交通省の資料[3]には、この法律が置かれた背景がまとめられています。

解約が難しい、という性質

もう一つ、契約前に知っておく価値があるのがこの点です。

サブリース契約では、業者が借主にあたります。借主は借地借家法の保護を受けます。

つまり、所有者(貸主)の側から更新を拒んだり解約したりするには、正当な事由が必要になります。実際には認められにくく、「賃料が下がったので自分で貸したい」という理由だけでは解約できないのが通常です。

自主管理へ切り替えたい、売却したい、といった場面でこれが効いてきます。

免責期間という、もう一つの落とし穴

「空室でも入る」はずの保証賃料が、入らない期間が定められていることがあります。

免責期間が置かれる場面
  1. 引渡しの直後

    最初の入居者が決まるまでの一定期間

    新築で1〜3か月とされることがある。この間は保証賃料が支払われない

  2. 入居者の退去後

    次の入居者が決まるまでの一定期間

    退去のたびに発生する契約もある

  3. その間も

    ローンの返済・管理費・税は発生し続ける

    収入がゼロで支出だけが出る月ができる

免責期間は契約書に書かれています。「空室保証があるから安心」と考えていると、最初の数か月の返済原資を用意し忘れることになりかねません。

何か月あるのか、退去のたびに発生するのか。この2点は契約前に確かめられます。

収支計算に、どう織り込むか

サブリースを付けた場合、収支の見え方が変わります。

保証賃料が相場の85%だった場合(家賃10万円の物件)
  • 所有者が受け取る保証賃料85,000円
  • 業者の取り分(空室の危険を引き受ける対価)15,000円

差額の15,000円は、年間で18万円、35年で630万円になる。この額が「空室が怖い」ことの値段として見合うかどうかが判断の分かれ目。

この差額を計算しておくと、比較ができるようになります。 自主管理にして空室の危険を自分で持つ場合と、どちらが有利かを金額で並べられるためです。

年に1か月空く想定(約8%)なら、空室による減収は年8万円。保証の対価が年18万円なら、対価のほうが大きいことになります。空室が年3か月に及ぶ地域なら、逆転します。

地域の空室の実態が分かれば、この比較はできます。実質利回り計算機で、保証賃料と相場賃料の両方を入れて比べてみてください。

契約前に確認すること

署名する前に確かめる7点

よくある質問

サブリースなら空室は怖くないのですか?
空室でも賃料は入ります。ただし保証額が周辺相場より低く設定されるのが通常で、その差額が空室の危険を引き受けてもらう対価にあたります。加えて、保証額そのものが契約期間中に下がることがあります。空室の心配が消えるのではなく、別の形の不確かさに置き換わる、と理解するのが実際に近いです。
「30年一括借上げ」なら30年間同じ賃料ですか?
期間が30年であることと、賃料が30年変わらないことは別です。多くの契約に賃料の見直し条項があり、さらに借地借家法32条により、業者は経済事情の変動などを理由に減額を請求できます。この請求権は、特約で排除できないと解されています。
賃料が下がったら契約を解除できますか?
容易ではありません。この契約では業者が借主にあたるため、借地借家法の保護を受けます。所有者(貸主)から更新を拒んだり解約したりするには正当な事由が必要とされ、実際には認められにくいのが実情です。契約前に解約の条件を確認しておく必要があります。
法律で規制されているのではないのですか?
2020年に成立した賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、契約前の重要事項説明が義務づけられました。ただしこれは「説明させる」規制であって、賃料が下がること自体を禁じるものではありません。説明を受けたうえで判断するのは、依然として所有者の側です。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和二年法律第六十号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 令和2年

    確認日 2026-09-03

  2. 借地借家法(平成三年法律第九十号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 平成3年

    確認日 2026-09-02

  3. 裁判例検索

    裁判所

    確認日 2026-08-19

  4. 最高裁判例一覧(借地借家法)

    一般財団法人 不動産適正取引推進機構

    確認日 2026-08-26

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