サブリース さぶりーす
サブリースとは、業者が物件を一括で借り上げ、入居者へ転貸する仕組みのこと。空室でも一定の賃料が入る代わりに、相場より低い額に設定され、契約後に減額されることがある。
この記事の要点
- 業者が一括で借り上げ、入居者へ転貸する。所有者から見ると相手は業者1社になる
- 空室でも賃料が入る代わりに、保証額は周辺相場より低く設定されるのが通常
- 借地借家法32条の減額請求は、契約に特約があっても排除できないと解されている
- 2020年の法律で、契約前に家賃減額の可能性を説明する義務が置かれた
- 借主は業者であり、借地借家法の保護を受ける。所有者から解約するのは容易でない
目次(9項目)
サブリースとは、不動産会社が物件を一括で借り上げ、入居者へ転貸する仕組みです。一括借上げ、家賃保証とも呼ばれます。
所有者から見ると、契約の相手は入居者ではなく業者1社になります。入居者が入っていようがいまいが、業者から毎月一定額が入る。この点が「保証」と呼ばれる理由です。
お金と契約の流れ
所有者 と サブリース業者 が賃貸借契約を結ぶここが本体
業者が借主になる。これを特定賃貸借契約という
業者 が 入居者 へ転貸する
入居者から見た貸主は業者。所有者とは直接の契約関係が無い
入居者が業者へ家賃を払う
相場どおりの家賃
業者が所有者へ保証賃料を払う
相場より低い額。差額が業者の取り分になる
業者は「相場で貸して、それより安く借りる」ことで利益を得る。空室の危険を引き受ける対価でもある。
なぜ保証賃料が下がるのか
ここが最も誤解されるところです。契約書に「30年一括借上げ」と書かれていても、30年間同じ賃料が続くとは限りません。
理由は2つあります。
理由1:契約に賃料の見直し条項がある
多くの契約に「◯年ごとに賃料を見直す」という条項が置かれています。見直しの結果として下がることがあります。
理由2:法律上の減額請求権がある
つまり、契約書の文言だけでは賃料の維持を担保できません。 これはサブリース業者が特別なことをしているのではなく、建物の賃貸借に共通する法律の仕組みです。
2020年の法律で何が変わったか
サブリースをめぐる紛争が相次いだことを受けて、法律が作られました。
2020年6月
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が公布される
令和2年法律第60号。通称サブリース規制法
同年12月
サブリースに関する規定が施行される
誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、契約前の重要事項説明の義務
2021年6月
賃貸住宅管理業の登録制度が施行される
一定規模以上の管理業者に登録を義務づけた
この法律[1]により、業者には次のことが義務づけられました。
してはいけないこと
- 家賃保証の内容について、著しく事実と違う広告を出すこと
- 家賃減額の可能性を伝えずに勧誘すること
- 事実を告げず、または不実を告げて契約させること
- 相手が困惑するような時間・方法で勧誘すること
しなければならないこと
- 契約の締結前に、書面を交付して重要事項を説明すること
- 家賃の見直しがありうることを説明すること
- 借地借家法32条により減額請求ができることを説明すること
- 契約の解除に関する事項を説明すること
国土交通省の資料[3]には、この法律が置かれた背景がまとめられています。
解約が難しい、という性質
もう一つ、契約前に知っておく価値があるのがこの点です。
サブリース契約では、業者が借主にあたります。借主は借地借家法の保護を受けます。
つまり、所有者(貸主)の側から更新を拒んだり解約したりするには、正当な事由が必要になります。実際には認められにくく、「賃料が下がったので自分で貸したい」という理由だけでは解約できないのが通常です。
自主管理へ切り替えたい、売却したい、といった場面でこれが効いてきます。
免責期間という、もう一つの落とし穴
「空室でも入る」はずの保証賃料が、入らない期間が定められていることがあります。
引渡しの直後
最初の入居者が決まるまでの一定期間
新築で1〜3か月とされることがある。この間は保証賃料が支払われない
入居者の退去後
次の入居者が決まるまでの一定期間
退去のたびに発生する契約もある
その間も
ローンの返済・管理費・税は発生し続ける
収入がゼロで支出だけが出る月ができる
免責期間は契約書に書かれています。「空室保証があるから安心」と考えていると、最初の数か月の返済原資を用意し忘れることになりかねません。
何か月あるのか、退去のたびに発生するのか。この2点は契約前に確かめられます。
収支計算に、どう織り込むか
サブリースを付けた場合、収支の見え方が変わります。
- 所有者が受け取る保証賃料85,000円85.0%
- 業者の取り分(空室の危険を引き受ける対価)15,000円15.0%
差額の15,000円は、年間で18万円、35年で630万円になる。この額が「空室が怖い」ことの値段として見合うかどうかが判断の分かれ目。
この差額を計算しておくと、比較ができるようになります。 自主管理にして空室の危険を自分で持つ場合と、どちらが有利かを金額で並べられるためです。
年に1か月空く想定(約8%)なら、空室による減収は年8万円。保証の対価が年18万円なら、対価のほうが大きいことになります。空室が年3か月に及ぶ地域なら、逆転します。
地域の空室の実態が分かれば、この比較はできます。実質利回り計算機で、保証賃料と相場賃料の両方を入れて比べてみてください。