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法律・制度 9分で読めます 3,255字 (2026年8月19日公開)

用途地域 ようとちいき

用途地域とは、その地域に建てられる建物の種類と規模を都市計画で定めたもの。13種類あり、建ぺい率・容積率・高さの上限もこれに連動して決まる。

この記事の要点

  1. 13種類。都市計画法9条が、それぞれ何を保護するための地域かを定めている
  2. 決めているのは「いま何が建っているか」ではなく「これから何が建ちうるか」
  3. 建ぺい率・容積率・高さ制限・日影規制が、用途地域に連動して決まる
  4. 前面道路の幅員が12m未満なら、指定容積率をそのまま使えないことがある
  5. 市区町村の都市計画図で誰でも確認できる。多くはWebで公開されている
目次(6項目)

用途地域とは、その地域に建てられる建物の種類と規模を、都市計画で定めたものです。

住宅を買うときも、投資用の物件を買うときも、確認の優先度が高い割に見られていない項目です。理由は単純で、いまの環境には表れないからです。

13種類ある

都市計画法9条が、それぞれ何を保護するための地域かを定めています。

用途地域の系統(都市計画法9条)

住居系(8種類)

  • 第一種低層住居専用地域/第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域/第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域/第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域

住環境の保護が目的。番号が上がるほど許容される用途が広がる。

商業系(2種類)

  • 近隣商業地域
  • 商業地域

商業その他の業務の利便を増進するための地域。

工業系(3種類)

  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

工業専用地域には住宅を建てられない。

条文の表現が、そのまま性格を表しています。第一種低層住居専用地域は「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため」、第二種低層住居専用地域は「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため」。「主として」の3文字が、許容の幅の違いです(都市計画法[1])。

隣に何が建ちうるか

建てられない建物の一覧は、建築基準法[2]の別表第二にあります。境目にあたる2つを並べます。

第一種住居地域と第二種住居地域の差

第一種住居地域

  • 店舗・事務所等は床面積3,000㎡以下まで
  • ぱちんこ屋・マージャン屋は建てられない
  • カラオケボックスは建てられない
  • 劇場・映画館・ナイトクラブは建てられない

生活の利便と住環境の均衡を取る位置。

第二種住居地域

  • 店舗・事務所等は床面積10,000㎡以下まで
  • ぱちんこ屋・マージャン屋を建てられる
  • カラオケボックスを建てられる
  • 劇場・映画館・ナイトクラブは建てられない

許容される規模が3倍以上に広がる。

工業系では、逆向きの制限がかかります。工業地域では学校や病院を建てられず、工業専用地域では住宅・共同住宅そのものを建てられません。 賃貸物件を探すときに、この区域の物件が出てこない理由です。

用途地域は、規模の上限も連れてくる

用途地域が決まると、それに紐づく数値が一式決まります。

用途地域から決まっていくもの
  1. 建てられる用途

    建築基準法48条と別表第二。何を建ててよいか

  2. 建ぺい率の上限

    53条。用途地域ごとの選択肢の中から、都市計画で定める

  3. 容積率の上限

    52条1項。同じく、選択肢の中から都市計画で定める

  4. 高さ・日影の制限低層系だけの制限

    低層住居専用地域と田園住居地域には、10mまたは12mの絶対高さ制限がある

  5. 前面道路による容積率の追加の制限ここが見落とされる

    52条2項。用途地域によって掛ける数値が変わる

「用途地域を調べる」とは、この5つを調べることを指す。

最後の1つが、実務では最も金額に効きます。

前面道路が、容積率を削る

同じ土地・同じ指定容積率でも、用途地域が違えば結果が変わります。

前提(どちらも同じ土地)

敷地面積

100㎡

指定容積率

200%

前面道路の幅員

4m

用途地域だけが違う場合の、建てられる延べ床面積

第一種住居地域

  • 乗じる数値は10分の4
  • 4m × 4/10 = 160%
  • 指定の200%と比べて小さいほうを取る
  • 上限は100㎡ × 160% = 160㎡

指定容積率200%をそのまま使えない。

近隣商業地域

  • 乗じる数値は10分の6
  • 4m × 6/10 = 240%
  • 指定の200%と比べて小さいほうを取る
  • 上限は100㎡ × 200% = 200㎡

指定容積率をそのまま使える。

第一種住居地域で消える分(㎡)
  • 実際に建てられる160㎡
  • 指定容積率だけで計算すると多く見える分40㎡

前面道路が6mなら、住居系でも 6 ✕ 4/10 = 240% となり、指定の200%を使えます。道路の幅が2m違うだけで、建てられる量が変わります。

投資として見るとき

物件を絞り込む段階で見ること

3つ目が、中古の区分マンションでは特に効きます。

確認は無料でできる

用途地域は、重要事項説明でも都市計画法・建築基準法にもとづく制限として説明されます。ただしそれは契約の直前です。

絞り込む段階で自分で見ておけば、説明を確認として聞けます。

よくある質問

用途地域を見ると何が分かりますか?
いま隣が空き地や低い建物でも、そこに将来何が建ちうるかが分かります。たとえば第一種住居地域なら、床面積3,000平方メートルを超える店舗などは建てられませんが、それ以下の規模の店舗や事務所は建てられます。第二種住居地域になると上限が10,000平方メートルまで広がり、ぱちんこ屋やカラオケボックスも建てられます。いまの環境ではなく、環境が変わりうる範囲を示すものです。
容積率200%の土地なら、敷地面積の2倍まで建てられますか?
限りません。前面道路の幅員が12メートル未満の場合、建築基準法52条2項により、幅員のメートル数に一定の数値を掛けた値も上限になります。住居系の用途地域では原則10分の4です。前面道路が4メートルなら4×4/10で160%となり、都市計画で定められた200%は使えません。100平方メートルの敷地なら200平方メートルのつもりが160平方メートルになり、40平方メートルの差が出ます。
同じ道路幅でも用途地域で結果が変わりますか?
変わります。掛ける数値が用途地域によって違うためです。住居系は原則10分の4、それ以外は原則10分の6です。前面道路4メートル・指定容積率200%の土地なら、第一種住居地域では160%が上限、近隣商業地域では4×6/10で240%となり指定の200%をそのまま使えます。同じ広さ・同じ指定容積率でも、建てられる量が40平方メートル違うことになります。
用途地域はどこで確認できますか?
市区町村の都市計画図で確認できます。多くの自治体がWebで公開しており、住所を入れれば地図上で色分けが見られます。窓口では都市計画課が担当です。所有者でなくても、検討段階でも見られます。重要事項説明でも都市計画法・建築基準法にもとづく制限として説明されますが、それは契約の直前です。物件を絞り込む段階で自分で見ておく価値があります。
用途地域が指定されていない場所もありますか?
あります。市街化調整区域では原則として用途地域を定めないこととされており、また都市計画区域外や、都市計画区域内でも用途地域の定めのない区域(いわゆる白地地域)があります。用途地域が無い場所では、建てられる用途の制限は緩くなる一方、建ぺい率・容積率は特定行政庁が定める数値によることになり、開発の可否は別の規制で判断されます。「制限が無いから自由」ではありません。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和43年

    確認日 2026-08-19

  2. 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和25年

    確認日 2026-09-02

  3. 都市計画制度の概要

    国土交通省 都市局

    確認日 2026-08-19

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