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住宅ローン控除 じゅうたくろーんこうじょ

住宅ローン控除は、額より先に「使えるか」で決まる。要件で落ちる、額で落ちる、途中で止まる。3つのうち、額の話だけが広く説明されている。

この記事の要点

  1. 生計を一にする親族から買うと、この控除は使えない。取得後も生計を一にするかで見る
  2. 床面積は登記簿の内法で50㎡以上。図面の壁芯で50㎡を超えていても足りないことがある
  3. 転勤で住まなくなるなら、住まなくなる日までに税務署へ届出書を出す。出していないと戻っても再適用できない
  4. 期間短縮型の繰上返済で償還期間が10年未満になると、その年から対象外になる
  5. 3,000万円特別控除とは併用できない。ぶつかる期間は前々年から翌年以後3年まで
目次(13項目)

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで家を買った人が、年末のローン残高に応じて所得税などを減らせる制度です。正式には住宅借入金等特別控除といいます。

「最大◯◯万円戻る」という言い方をよく見かけますが、★その額がそのまま戻る人は多くありません。 減らせるのは、そもそも納めている税の範囲までだからです。

額の話は、3番目に来る

住宅ローン控除の説明は、たいてい「いくら戻るか」から始まります。その前に2つあります。

落ちる場所は3つある

どこで落ちるのか

  • 使えるかどうかで落ちる

    要件を1つでも欠くと、額の計算に進めない

    • 生計を一にする親族からの取得
    • 床面積が登記簿で50㎡に届かない
    • 取得から6か月以内に住んでいない
    • 合計所得金額が2,000万円を超える年

    ★契約の前にしか直せないものが多い。

  • 額で落ちる/途中で止まる

    使えるが、思っていた額にならない

    • 年末残高・借入限度額・納めた税・対価の天井
    • 転勤で住まなくなる
    • 期間短縮型の繰上返済で償還期間が10年未満になる

    額そのものは、計算機のページにまとめている。

このページは1つ目と、2つ目のうち「途中で止まる」ほうを扱います。

額そのものは住宅ローン控除の計算機にまとめました。

1つ目は、契約の前にしか直せません。 床面積も、誰から買うかも、後から変えられません。

使えるかどうかで落ちる

租税特別措置法41条1項が本体です。骨格は3つあります。

41条1項が求めているもの
  • 償還期間が10年以上の割賦償還1 
  • その年の合計所得金額が2,000万円以下1 
  • 取得等の日から6か月以内に居住し、その年末まで住み続けている1 

★3つとも、1つでも欠けたらその年は受けられません。合計所得金額は年ごとに見るので、ある年だけ超えれば、その年だけ落ちます。

条文にはもう2つ、括弧の中に条件が入っています。括弧の中なので読み飛ばされます。

生計を一にする親族から買うと、使えない

41条1項は、取得から「配偶者その他その者と特別の関係がある者からの取得で政令で定めるもの及び贈与によるもの」を除いています。その範囲は租税特別措置法施行令[2]26条2項にあります。

施行令26条2項が挙げる「特別の関係がある者」

★ただし全員が外れるわけではありません。かかるのは「取得の時において生計を一にしており、取得後も引き続き生計を一にする者」からの取得だけです。

条件は2つあります。 取得の時と、取得の後。どちらも満たす場合だけ除外されます。

同居していても家計が別で、取得後も別のままなら、この除外には当たりません。逆に、別居していても仕送りで生計が一体なら当たります。 判断が微妙な場合は、契約の前に税務署で確かめてください。

床面積は、登記簿の内法で見る

施行令[2]26条1項は、床面積50㎡以上を要件にしています。この床面積は、登記簿に記録された面積です。

同じ部屋でも、2つの面積がある

壁芯(かべしん)

  • 壁の中心線で囲まれた面積
  • 販売図面やパンフレットに載る
  • 建築基準法の計算でも使う

大きいほうの数字。

内法(うちのり)

  • 壁の内側で測った面積
  • 区分建物の登記簿はこちら
  • 住宅ローン控除の判定もこちら

小さいほうの数字。

★図面で51㎡でも、登記簿では49㎡台ということが起こります。差は数㎡です。50㎡前後の部屋では、これが分かれ目になります。

40㎡以上50㎡未満でも使える特例はありますが(41条16項)、条件が2つ付きます。令和5年12月31日以前に建築確認を受けたもので、かつ合計所得金額が1,000万円以下の年に限られます。★本則の2,000万円ではありません。

中古で耐震基準を満たさない家は、順序が決まっている

昭和57年1月1日以後に建築されたものは、それだけで耐震基準を満たすものとして扱われます(施行令[2]26条3項)。それより前の建物でも、道はあります。

要耐震改修住宅で使うための順序(措置法41条35項)
  1. 取得の日までに、耐震改修の申請等をする

    建築物の耐震改修の促進に関する法律17条1項の申請、その他財務省令で定める手続

  2. 取得する

    この時点ではまだ耐震基準を満たしていない

  3. 取得から6か月以内の居住の日までに、耐震基準への適合を証明する

    財務省令で定めるところにより証明されれば、既存住宅とみなされる

★申請は「取得の日までに」です。買ってから改修を考えるのでは間に合いません。契約の段取りに組み込む必要があります。

途中で止まる

使えていたものが、後から止まることがあります。3つあります。

転勤 — 出ていく前に出す書類がある

転勤で住まなくなれば、その年から受けられなくなります。戻ってきたときの再適用は租税特別措置法[1]41条28項が認めていますが、29項に条件があります。

転勤したのが何年目か

住み始めた年の12月31日までに転勤になったか

  • 1年目のうちに転勤

    41条31項。事前の届出は要らない

    • 再び住んだ最初の年の確定申告に、証明書類を添える
    • 居住していたことを証する書類、再び住んだことを証する書類、登記事項証明書
    • 賃貸に出していた年は、その翌年から

    1年目はまだ控除を受けていないので、事前の届出のしようがない。

  • 2年目以降に転勤

    41条28項。★住まなくなる日までに届出書が要る

    • 「居住の用に供しなくなる日までに」税務署へ提出する
    • 出していなければ、戻ってきても再適用できない
    • 30項に宥恕はあるが、やむを得ない事情が要る

    ★出ていく前に出す書類である。戻ってから出すものではない。

どちらの道でも、再び住んだ年にその家を賃貸に出していた場合は、翌年からになります。

「戻ってきたら手続きすればよい」と思っていると、間に合いません。

転勤の話が出た時点で、まだ住んでいるうちに届出書を出す必要があります。この書類のことは、借りるときにも、転勤の内示のときにも、誰からも案内されません。

繰上返済 — 10年を切ると資格が消える

41条1項は、控除の対象になる借入金を償還期間が10年以上のものに限っています。期間短縮型の繰上返済でこれを下回ると、その年から対象外になります。

額が減るのではなく、資格を失います。 詳しくは繰上返済にまとめました。

10年ルールに当たらない場合でも、年末残高が減るぶん控除の枠は減ります。ただし枠が納めた税を上回っている年は、枠が減っても戻る額は変わりません。

賃貸に出す・売る

その年の12月31日まで引き続き居住していることが条件なので、賃貸に出せばその年から受けられません。 売った場合も同じです。

買い替えのときにぶつかる

住宅ローン控除は、譲渡の特例と併用できません。ぶつかる期間が長く取られています。

3,000万円特別控除とぶつかる期間
  1. 住み始めた年の前々年・前年

    この間に35条1項の適用を受けていると、住宅ローン控除は使えない

    措置法41条21項。31条の3・36条の2・36条の5・37条の5も同じ

  2. 住み始めた年

    同上

    41条21項

  3. 住み始めた年の翌年から3年以内

    他の資産を譲渡して35条1項などを受けると、遡って使えなくなる

    41条22項

★合わせて6年あります。前の家を売る年と、新居に住み始める年が近いほど、正面からぶつかります。

どちらか一方しか選べません。

  • 3,000万円特別控除は一度きり。売却益が3,000万円以内なら、譲渡所得の税額はゼロになります
  • 住宅ローン控除は13年にわたって毎年効きます。ただし年ごとの上限は、納めた所得税と、住民税97,500円までです

売却益が小さいなら、住宅ローン控除のほうが大きくなります。 譲渡所得500万円に長期の税率20.315%を当てると約102万円ですが、住宅ローン控除の13年合計は条件しだいで300万円近くになります。詳しくは譲渡所得を参照してください。

なお35条3項の空き家特例は、41条21項の括弧書きで除かれています。 相続した空き家を売って空き家特例を使う場合は、住宅ローン控除と併用できます。同じ35条でも、1項と3項で扱いが違います。

手続きで落ちる

条文は、書類が揃っている場合に限り適用すると書いています。

初年度と、2年目以降

初年度は確定申告

  • 控除を受ける金額の記載
  • 計算に関する明細書
  • 登記事項証明書その他の書類
  • 41条36項。添付が無いと適用されない

37項に宥恕はあるが、やむを得ない事情が要る。

2年目以降は年末調整

  • 措置法41条の2の2による
  • 金融機関から届く年末残高等証明書を添える
  • 勤務先へ申告書を出す

★合計所得金額の見積額が2,000万円を超える年は、この申告書を出せない。

給与所得者でない場合は、毎年確定申告になります。年末残高等証明書は毎年届くので、捨てないでください。

額の話は、計算機のページにある

ここまでが「使えるか」と「止まらないか」です。額そのものは4つの天井で決まります。

額を決める4つの天井
  • 借入限度額(措置法41条7項・9項)1 
  • その年の年末残高(41条2項)1 
  • 取得の対価 − 補助金 − 贈与の非課税分(施行令26条6項・26項)1 
  • その年に納めた所得税と、住民税の一部(地方税法附則5条の4)1 

★4つのうち最も低いものが効きます。広告に出る「最大◯◯万円」は1つ目だけを見た数字です。

自分の条件での実額は住宅ローン控除の計算機で出せます。住民税から引ける上限は課税総所得金額等の5%・97,500円で、根拠は地方税法[3]附則5条の4にあります。所得税から引ける上限を見るときは、源泉徴収税額を1.021で割って復興特別所得税[4]を除く必要があります。

判断の順序

契約の前に確かめる順序

1つ目から4つ目までは、契約の後では直せません。5つ目は、その4つが通ってから意味を持ちます。

上の4つは、いずれも「調べれば分かること」です。 見積りを取る必要も、専門家に依頼する必要もありません。売買契約書と登記事項証明書を見れば済みます。

よくある質問

親から家を買っても住宅ローン控除は使えますか?
生計を一にしている親から買った場合は使えません。租税特別措置法41条1項が「配偶者その他その者と特別の関係がある者からの取得で政令で定めるもの」を除いており、施行令26条2項がその範囲を定めています。親族、事実上婚姻関係と同様の事情にある者、その人から受ける金銭で生計を維持している者、およびそれらの人と生計を一にする親族です。★条件は「取得の時において生計を一にしており、取得後も引き続き生計を一にする者」の2つです。同居していても財布が別で、取得後も別のままなら、この除外には当たりません。判断が微妙なら税務署で確認してください。
床面積は図面の数字でよいですか?
よくありません。施行令26条1項の「床面積」は登記簿に記録された面積で見ます。マンションの専有部分は登記簿では内法(うちのり)、つまり壁の内側で測るため、販売図面の壁芯(かべしん)より小さくなります。★図面で51㎡でも、登記簿では49㎡台ということが起こります。40㎡以上50㎡未満でも使える特例はありますが、令和5年12月31日以前に建築確認を受けたものに限られ、合計所得金額の上限も1,000万円に下がります(41条16項)。契約前に登記簿上の面積を確認してください。
転勤で住まなくなったら、控除はどうなりますか?
その年から受けられなくなります。戻ってきたときに再び受けるには、条件があります。租税特別措置法41条28項は再適用を認めていますが、29項が「その家屋を居住の用に供しなくなる日までに」届出書を税務署へ提出していることを条件にしています。★出ていく前に出す書類です。戻ってから出すものではありません。ただし居住を始めた年の12月31日までに転勤になった場合は31条〜33項の別の道があり、こちらは事前の届出を求めていません。1年目かどうかで入口が違います。
繰上返済で控除が消えることがあるのですか?
期間短縮型で償還期間が10年未満になると、その年から対象外になります。租税特別措置法41条1項が、控除の対象になる借入金を「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの」としているためです。この10年は最初の返済から返済終了までの期間で見ます。★額が減るのではなく、資格を失います。返済額軽減型なら期間が変わらないので、この問題は起きません。10年ルールに当たらない場合でも、年末残高が減るぶん控除の枠は減ります。
前の家を売って買い替えるときは、何に気をつければよいですか?
3,000万円特別控除と住宅ローン控除は併用できません。租税特別措置法41条21項は、住み始めた年とその前年・前々年に35条1項などの適用を受けている場合は住宅ローン控除を適用しないと定め、22項は住み始めた年の翌年以後3年以内に他の資産を譲渡して同じ特例を受けた場合も同様としています。合わせて6年ぶつかります。★売却益が小さいなら、住宅ローン控除のほうが大きくなることが多いので、両方の額を出してから決めてください。なお35条3項の空き家特例は21項の括弧書きで除かれているため、これとは併用できます。
中古で耐震基準を満たさない家は、まったく使えませんか?
段取り次第で使えます。租税特別措置法41条35項は、耐震基準に適合しない中古住宅(要耐震改修住宅)でも、★取得の日までに耐震改修を行う申請等をし、かつ取得から6か月以内の居住の日までに耐震基準に適合したと証明されれば、既存住宅とみなすとしています。順序が決まっているのが要点です。買ってから改修を考えるのでは間に合いません。なお昭和57年1月1日以後に建築されたものは、それだけで耐震基準を満たすものとして扱われます(施行令26条3項)。
2年目以降も確定申告が必要ですか?
給与所得者なら不要です。初年度は確定申告が必要で、控除額の計算明細書と登記事項証明書などの添付が要ります(41条36項)。2年目以降は、租税特別措置法41条の2の2により年末調整で受けられます。金融機関から届く年末残高等証明書を添えて、勤務先へ申告書を出します。★ただしその年の合計所得金額の見積額が2,000万円を超えるときは、この申告書を提出できません(同条2項)。その年は確定申告で受けることになります。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和32年

    確認日 2026-09-02

  2. 租税特別措置法施行令(昭和三十二年政令第四十三号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和32年

    確認日 2026-09-02

  3. 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和25年

    確認日 2026-09-02

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