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ローン・お金 7分で読めます 2,593字

つなぎ融資 つなぎゆうし

住宅ローンは建物の完成後にしか実行できない。抵当権を設定するには登記が必要で、登記できる「建物」になるのは屋根と壁ができてからである。

この記事の要点

  1. 住宅ローンが完成後なのは、抵当権を設定できないため
  2. 登記できる「建物」になるのは、屋根と壁ができてから
  3. つなぎ融資の利息と手数料は、建物の代金に入っていない
  4. つなぎ融資は住宅ローン控除の対象にならない
  5. 分割実行という別の形もある。扱いは金融機関で違う
目次(6項目)

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでの間、一時的に借りるお金のことです。注文住宅を建てるときに使われます。

土地の代金や、工事の着工金・中間金は、建物が完成する前に払う必要があります。ところが住宅ローンは、原則として建物の完成後にしか実行されません。★その間を埋めるための借入です。

なぜ完成後なのか。理由は条文にあります。

抵当権は、存在しない建物には設定できない

金融機関は、貸したお金の担保として建物に抵当権を設定します。★まだ建っていない建物には、設定できません。

そして抵当権を登記するには、その建物の登記が先に要ります。

★「建物」になるのは、屋根と壁ができてから

基礎だけ、骨組みだけでは「建物」になりません。

建物が担保になるまで
  1. 着工

    基礎、骨組み。★この段階では、まだ登記の対象ではない

  2. 屋根と壁ができるここから

    不動産登記規則111条の「建物」になる

  3. 表題登記

    どこに、どれだけの広さで存在するかを記録する(不動産登記法47条1項)

  4. 所有権保存登記

    誰のものかを記録する

  5. 抵当権設定登記ローン実行

    ★ここで初めて、金融機関は担保を取れる

★住宅ローンが実行されるのは、この最後の段階です。着工金や中間金は、それより前に支払期日が来ます。

「金融機関が慎重だから遅い」のではありません。 担保を取る仕組みが、この順序でしか成り立たないためです。→ 抵当権

足りなくなるのは、いつ・いくらか

支払の時期と、ローンの実行時期がずれる

先に払うもの

  • 土地の代金(決済の日)
  • 工事の着工金
  • 工事の中間金(上棟時など)
  • 契約時の手付金

請負契約書に、時期と金額が書かれている。

後から来るもの

  • 住宅ローンの実行(建物の完成・引渡し時)
  • 抵当権の設定登記もこのとき
  • ★つなぎ融資の一括返済もこのとき

ここで一度に精算される。

★請負契約書の支払時期と、住宅ローンの実行予定日を並べれば、いつ・いくら足りないかが出ます。その差額が借りる額です。

自己資金で払える範囲なら、つなぎ融資は要りません。 足りない額と期間が分かって初めて、必要かどうかが決まります。

★つなぎ融資は、住宅ローン控除の対象にならない

つなぎ融資は短期で、住宅ローンの実行時に一括で返します。この定義に当たりません。

控除の対象になるのは、その後に組む住宅ローンのほうです。年末残高証明書も、そちらについて出ます。詳しくは住宅ローン控除にまとめました。

分割実行という、別の形

つなぎ融資を使わずに済む道もあります。

完成前の資金を、どう用意するか

借入先は、どの形を扱っているか

  • つなぎ融資

    住宅ローンとは別の借入を、一時的に立てる

    • 住宅ローンの実行時に、一括で返す
    • 利息と事務手数料が別にかかる
    • 住宅ローン控除の対象にならない

    扱っていない金融機関もある。

  • 分割実行(土地先行融資)

    住宅ローンそのものを、何回かに分けて実行する

    • 土地の決済時、着工時、完成時などに分ける
    • 借入は1本なので、別建ての手数料は生じにくい
    • ★扱っている金融機関が限られる

    条件は一律ではない。

★どちらも扱っていない金融機関があります。土地の決済と着工の時期が見えた段階で、借入先に確かめてください。

確かめる順序

土地を決める前・請負契約の前に

★1つ目は、金融機関を選ぶ段階の話です。後から変えるのは大変になります。

返済の余力そのものは返済比率で確かめられます。つなぎ融資の利息は、住宅ローンの返済とは別に、その期間だけ出ていく費用です。

よくある質問

なぜ住宅ローンは建物の完成後にしか下りないのですか?
担保を設定できないためです。金融機関は建物に抵当権を設定しますが、民法369条1項は抵当権を「不動産」について設定するものとしています。★まだ建っていない建物には設定できません。そして抵当権を登記するには、その建物の登記が先に必要です。不動産登記法47条1項は、新築した建物の所有権を取得した者に、取得の日から1か月以内の表題登記を義務づけています。
いつから「建物」になるのですか?
不動産登記規則111条が定義しています。「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」です。★基礎だけ、骨組みだけでは建物になりません。屋根と壁ができて初めて登記の対象になり、そこから抵当権の設定に進めます。
つなぎ融資の利息は、いくらぐらいかかりますか?
このサイトは金利の水準を書きません。出典・発行者・確認日の3つが揃う資料が無いためです。★確かめられるのは仕組みのほうです。つなぎ融資は借りた日から住宅ローンの実行日までの日数で利息がつき、事務手数料と印紙税が別にかかります。借入先に、金利・手数料・想定日数の3つを出してもらえば、金額は自分で計算できます。
つなぎ融資は住宅ローン控除の対象になりますか?
なりません。租税特別措置法41条1項が、控除の対象になる借入金を「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの」に限っています。★つなぎ融資は短期で、住宅ローンの実行時に一括で返します。この定義に当たりません。控除の対象になるのは、その後に組む住宅ローンのほうです。
つなぎ融資を使わずに済む方法はありますか?
分割実行(土地先行融資)を扱う金融機関があります。住宅ローンそのものを土地の決済時・着工時・完成時などに分けて実行する形です。★ただし扱っていない金融機関もあり、条件も一律ではありません。土地の決済と着工の時期が見えた段階で、借入先に確かめてください。自己資金で払える範囲なら、そもそも要りません。
費用はどこに書かれていますか?
建物の請負代金には入っていません。★諸費用の見積りからも落ちやすい項目です。工事の請負契約書には支払の時期と金額が書かれているので、そこと住宅ローンの実行予定日を並べれば、いつ・いくら足りないかが出ます。その差額が、つなぎ融資で借りる額になります。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 平成16年

    確認日 2026-09-02

  2. 民法(明治二十九年法律第八十九号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 明治29年

    確認日 2026-09-02

  3. 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和32年

    確認日 2026-09-02

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