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税金 8分で読めます 2,897字

譲渡所得 じょうとしょとく

譲渡所得とは、土地や建物を売ったときの所得のこと。他の所得と分けて課税され、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が変わる。

この記事の要点

  1. 給与など他の所得と分けて課税される(分離課税)
  2. 取得費からは減価償却費相当額が差し引かれる。保有中に償却したほど所得は増える
  3. 長期と短期の判定は「売った年の1月1日」時点。売った日ではない
  4. 取得費が分からない場合、収入金額の5%とする扱いがある
  5. 居住用財産には3,000万円の特別控除がある。投資用には使えない
目次(7項目)

譲渡所得とは、土地や建物を売ったときの所得です。給与など他の所得とは分けて課税されます(分離課税)。

不動産投資の判断で最後に効いてくるのがここです。保有中の収支が黒字でも、売却時の税で通算が変わることがあります。

計算の順序

譲渡所得の計算

譲渡所得 = 収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)

収入金額
売却価格
取得費
買ったときの価格や費用。ただし建物は減価償却費相当額を差し引く
譲渡費用
仲介手数料、印紙税、測量費など、売るためにかかった費用

計算の枠組みは国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」にある。

計算そのものは引き算です(国税庁の案内[1])。判断を難しくしているのは、取得費のほうです。

取得費は、買った価格そのものではない

取得費が小さくなっていく仕組み
  1. 購入時の価格を、土地と建物に分ける

    土地は減価償却しない。建物だけが対象になる

  2. 保有中、建物を減価償却する保有中は有利

    毎年の経費として計上する。不動産所得を圧縮できる

  3. 売却時、償却した分だけ取得費が減る

    償却済みの部分は、すでに経費にしたものとして扱われる

  4. 取得費が小さいほど、譲渡所得は大きい売却時に返ってくる

    引く額が減るので、課税される所得が増える

保有中に減らした税の一部が、売却時に戻ってくる形になる。

減価償却[4]を多く計上するほど、保有中の税は減り、売却時の税は増えます。節税というより繰り延べに近い、というのが実際に合った理解です。詳しくは減価償却にまとめました。

長期と短期を分ける基準日

税率が変わるところです。ここに独特の決まりがあります。

数か月の差で税率が変わる例
  1. 2020年6月

    物件を取得する

  2. 2025年7月に売った場合

    実際の保有期間は5年1か月

    しかし2025年1月1日時点では4年7か月 → 短期譲渡

  3. 2026年1月以降に売った場合

    2026年1月1日時点で5年7か月 → 長期譲渡

    数か月ずらすだけで税率が変わる

長期譲渡所得の計算[2]は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合に適用されます。

売却の時期を決める前に、必ず確認してください。 買主が見つかってから気づくと、選択肢が狭まります。

居住用財産の特別控除

自分が住んでいた家を売った場合には、大きな控除があります。

居住用と投資用で、使える特例が違う

居住用財産

  • 3,000万円の特別控除が使える
  • 一定の要件で軽減税率の特例もある
  • 買換えや損失について、別の特例が用意されている

住まいを買い替える人への配慮。

投資用の物件

  • 3,000万円の特別控除は使えない
  • 譲渡損失を給与所得と通算できない
  • 適用できる特例が限られる

事業・投資として扱われる。

3,000万円の特別控除[3]には、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るといった要件があります。賃貸に出していた期間があると、扱いが変わることもあります。

税率の構造

分離課税なので、他の所得の多寡にかかわらず、譲渡所得そのものに税率がかかります。

長期と短期

長期譲渡所得

  • 売った年の1月1日時点で所有期間が5年超
  • 税率が低く抑えられている
  • 所得税・住民税に加え、復興特別所得税がかかる

長く持つほど有利になる設計。

短期譲渡所得

  • 売った年の1月1日時点で所有期間が5年以下
  • 長期より税率が高い
  • 短期の転売を抑える意図があるとされる

買ってすぐ売ると重くなる。

具体の税率は国税庁の案内[2]で確認してください。この差は、売却益が大きいほど金額として効いてきます。

申告はいつ、どうするのか

売却から申告まで
  1. 売却・引渡し

    決済の日。この日が属する年が、申告の対象になる

  2. 年内に、書類をまとめるここで詰まりやすい

    売買契約書(買ったとき・売ったとき)、仲介手数料の領収書、登記費用の明細

  3. 翌年の確定申告

    原則として2月16日から3月15日まで

  4. 納付

    所得税は申告期限まで。住民税は翌年度に課される

給与所得者でも、不動産を売った年は確定申告が必要になる。

2つ目が実際には最も手間のかかるところです。買ったときの書類が手元にあるかどうかで、作業量も税額も変わります。

出口の計算に、どう入れるか

売却を考えるときの順序

4つ目を出さないと、通算の損益が分かりません。出口の損益分岐計算機では税を含めていませんが、残債と価格の関係は見られます。

よくある質問

なぜ「売った年の1月1日」で判定するのですか?
法律がそう定めているためです。実務上の影響は大きく、たとえば2020年6月に取得した物件を2025年7月に売った場合、実際の保有期間は5年1か月ですが、2025年1月1日時点では4年7か月なので短期譲渡になります。翌年に売れば長期になります。数か月の差で税率が変わるため、売却の時期を決める前に必ず確認してください。
取得費が分からない場合はどうなりますか?
収入金額の5%を取得費とみなす扱いがあります。ただしこれは実際の取得費よりかなり小さくなることが多く、その分だけ譲渡所得が大きくなります。売買契約書、仲介手数料の領収書、登記費用の明細は、購入から何十年たっても必要になる書類です。
減価償却は譲渡所得にどう影響しますか?
建物の取得費から、保有期間中の減価償却費相当額が差し引かれます。保有中に多く償却したほど取得費は小さくなり、譲渡所得は大きくなります。つまり保有中に減らした税の一部が、売却時に戻ってくる形になります。節税というより繰り延べに近い、という理解が実際に合っています。
売って損が出た場合はどうなりますか?
譲渡所得がマイナスになっても、原則として給与など他の所得と損益通算はできません。土地建物の譲渡による所得は分離課税とされているためです。ただし居住用財産の買換えや売却について、一定の要件のもとで損益通算と繰越控除が認められる特例があります。投資用物件には適用されません。
3,000万円の特別控除は投資用物件にも使えますか?
使えません。この控除は自分が住んでいた家屋とその敷地を売った場合の特例です。賃貸に出していた物件は対象外になります。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、など要件も定められています。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. No.3208 長期譲渡所得の税額の計算

    国税庁

    確認日 2026-08-19

  2. No.2100 減価償却のあらまし

    国税庁

    確認日 2026-08-18

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