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法律・制度 14分で読めます 5,516字 (2026年8月19日公開)

接道義務 せつどうぎむ

接道義務とは、建物の敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないという決まり。満たさない土地には原則として建物を建てられない。

この記事の要点

  1. 敷地は道路に2m以上接する必要がある(建築基準法43条1項)
  2. ここでいう道路は42条が定義する6種類。見た目が道でも該当しないことがある
  3. 幅員4m未満の2項道路では、中心線から2mまで下がる(セットバック)
  4. セットバック部分は敷地面積に算入されない。建ぺい率・容積率の分母が減る
  5. 道路種別は市区町村の建築指導課で誰でも照会できる。買う前に自分で確かめられる
  6. 里道(赤道)は道路法上の道路ではない。2項道路の指定が無ければ接道義務を満たさない
目次(10項目)

接道義務とは、建物の敷地が道路に2m以上接していなければならない、という決まりです。

満たさない土地には、原則として建物を建てられません。再建築不可物件が生まれる原因のほとんどが、これです。

ここではその手前を書きます。何が「道路」で、何がそうでないのか。そして満たしているつもりで満たしていない場合に、何が起きるのか。

条文はごく短い

つまり判断は2段構えです。42条で「道路」かどうかを決め、43条で接し方を見ます。

実際に確かめる項目は、その2つを分けて4つになります。

接道義務を満たすかの判断(42条で2つ、43条で2つ)
  1. その道は、建築基準法上の「道路」か見落とされやすい

    42条の定義に当てはまるかどうか。ここで落ちる土地がある

  2. 幅員は足りているか

    原則4m以上。特定行政庁が指定する区域では6m以上

  3. 敷地が2m以上接しているか

    接している長さ。旗竿地はここで落ちることがある

  4. 条例による付加がないか

    43条3項により、地方公共団体が条例で制限を付加できる

4つすべてを満たして、初めて建てられる。

「道路」の定義が、6つある

42条1項は、幅員4メートル以上のもののうち、次のいずれかに該当するものを道路としています。

建築基準法上の道路(42条1項)

該当するもの

  • 1号 道路法による道路(国道・県道・市道)
  • 2号 都市計画法・土地区画整理法などによる道路
  • 3号 法の規定が適用された時点で既にあった道
  • 4号 2年以内に事業が執行される予定として指定された道路
  • 5号 特定行政庁から位置の指定を受けた道(位置指定道路)

私道であっても、5号なら建築基準法上の道路になる。

該当しないことがあるもの

  • 舗装され車が通っている「通路」
  • 里道・農道
  • 敷地内の通路
  • 建築基準法の適用前から使われている私道で、指定を受けていないもの

見た目・利用実態・幅では判断できない。

里道(赤道)に接している土地

前の道が里道であることがあります。公図で赤く塗られていたことから「赤道」「赤線」とも呼ばれます。

★里道は、道路法上の道路ではありません。

道路法上の道路は、この4つしかありません。里道はどれにも当たらないため、建築基準法42条1項1号の「道路法による道路」に該当しません。

道路として使われているのに道路法の外にある土地は、別の法律のほうが正面から書いています。

この譲与によって、里道は市町村が管理しているのが通常です。照会する先が市区町村になるのは、そのためです。

では、里道に接した土地には建てられないのか

★接道の長さは、境界が決まって初めて確定します。 塀の位置と筆界は一致しているとは限りません。→ 境界(筆界)と越境

42条2項は、法の適用が始まった時点で建物が立ち並んでいた幅員4m未満の道のうち、特定行政庁が指定したものを道路とみなします。里道がこの指定を受けている例は珍しくありません。指定を受けていれば、セットバックのうえで建てられます。

同じ「里道」でも、結論が分かれる

その里道は、建築基準法42条2項の指定を受けているか

  • 指定がある

    下がれば建てられる

    • 建築基準法上の道路とみなされる
    • 中心線から2mまで下がる(セットバック)
    • 下がった部分は敷地面積に算入されない

    実質的に2項道路として扱われる。

  • 指定が無い

    原則として建てられない

    • 建築基準法上の道路ではない
    • 43条1項の接道義務を満たさない
    • 建て替えられない(再建築不可)

    43条2項1号の認定・2号の許可という道は残る。

★どちらであるかは、見た目・幅・舗装の有無・車が通っているかでは判断できません。答えられるのは特定行政庁だけです。

指定が無い場合でも、43条2項には例外があります。1号は幅員4m以上の道に2m以上接し利用者が少数のものについての認定、2号は敷地の周囲に広い空地があるものなどについての、建築審査会の同意を得た許可です。ただしいずれも敷地ごとの判断で、一度認められたからといって、次の建て替えでも同じとは限りません。

確かめる手順

里道が疑われるときに見るもの

2項道路とセットバック

法が適用された時点で、幅員4m未満の道に沿って建物が立ち並んでいた場所があります。そこを一律に建築不可とすると、多くの街が成り立ちません。

つまり、建て替えのたびに少しずつ道が広がっていく仕組みです。この後退がセットバックです。

セットバックで起きること
  1. 現況の道路の中心線を出す

    幅員3mの道なら、中心は端から1.5m

  2. 中心線から2mの線が、道路の境界線とみなされる

    自分の敷地側へ0.5m入った線

  3. その線より道路側には、何も建てられない所有していても使えない

    建物も、塀も、門も。所有権は残るが使えない

  4. 敷地面積からも外れる

    建ぺい率・容積率の計算の分母が小さくなる

片側が崖地や川の場合、後退するのは宅地側だけになる(反対側から4m)。

数字にすると、どれだけ減るのか

前提

間口

10m

奥行

10m

敷地面積

100㎡

前面道路の幅員

3m

第一種住居地域、建ぺい率60%、指定容積率200%とします。

セットバックで外れる面積

後退距離 = 2m − 現況幅員 ÷ 2 = 2 − 1.5 = 0.5m

セットバック面積
間口10m × 0.5m = 5㎡
有効な敷地面積
100㎡ − 5㎡ = 95㎡

中心線から2mの線が境界とみなされるため、道が狭いほど後退が大きい。

ここで終わりではありません。セットバック後の道路は幅員4mとみなされます。 すると容積率に、もう1つの制限がかかります。

建てられる延べ床面積(㎡)
  • 実際に建てられる(95㎡ × 160%)152㎡
  • 消えた分48㎡

48㎡は、住戸1つ分に相当する面積です。土地の価格が同じでも、建てられる量が違えば別の商品です。

セットバック部分は、誰のものか

満たさない場合の道

43条2項に、2つの道が定められています。

43条2項の認定と許可

1号(認定)

  • 幅員4m以上の道に2m以上接することなどが要件
  • 国土交通省令で定める基準に適合すること
  • 利用者が少数であるもの
  • 特定行政庁が支障がないと認めること

建築審査会の同意は不要。比較的手続きは軽い。

2号(許可)

  • 敷地の周囲に広い空地を有することなどが要件
  • 国土交通省令で定める基準に適合すること
  • 特定行政庁が支障がないと認めること
  • 建築審査会の同意が必要

個別に判断される。包括同意基準を公表している行政庁もある。

買う前に、自分で確かめる手順

契約より前にやること

1つ目が最も費用対効果の高い行動です。電話1本で分かります。

よくある質問

前の道が広ければ接道義務は満たしますか?
幅が足りていても、それが建築基準法上の道路でなければ満たしません。42条は「道路」を6つの類型で定義しており、道路法による道路、都市計画法などによる道路、法の適用時にすでに存在した道、事業計画のある道路として指定されたもの、特定行政庁から位置の指定を受けた道(位置指定道路)などが該当します。舗装され、車が通り、生活道路として使われていても、これらのいずれにも当たらない「通路」であることがあります。見た目では判断できません。
里道にしか接していない土地には、建物を建てられませんか?
その里道が建築基準法上の道路にあたるかどうかで決まります。里道は道路法3条が挙げる4種類(高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道)のいずれでもないため、建築基準法42条1項1号の「道路法による道路」には当たりません。ただし、幅員4m未満の道として特定行政庁の指定を受けていれば、42条2項によって道路とみなされます。指定があるかどうかは見た目では分からないので、市区町村の建築指導課で道路種別を照会してください。指定が無い場合でも、43条2項1号の認定または2号の許可を受けられることがあります。いずれも敷地ごとの判断になります。
セットバックすると、どれくらい損しますか?
下がった部分は敷地面積に算入されないため、建ぺい率・容積率の計算の分母が減ります。間口10m・奥行10mの100㎡の土地で、前面道路が幅員3mなら0.5m下がり、5㎡が敷地から外れます。さらに前面道路の幅員による容積率の制限も受けます。第一種住居地域・指定容積率200%の場合、100㎡×200%で200㎡建てられるつもりが、実際の上限は152㎡です。48㎡の差が出ます。
セットバックした部分は自分の土地ではなくなるのですか?
所有権は残ります。ただし建築基準法上は道路とみなされるため、建物も塀も門も建てられません。固定資産税については、一定の要件のもとで非課税とする扱いを設けている市区町村があります。扱いは市区町村ごとに異なるため、資産税課へ確認してください。所有していても使えない部分がある、というのが実態に近い理解です。
接道義務を満たさない土地でも建てられる場合はありますか?
あります。43条2項は2つの道を定めています。1号は、幅員4m以上の道に2m以上接するなど国土交通省令の基準に適合し、利用者が少数であるものについての認定。2号は、敷地の周囲に広い空地があるなど国土交通省令の基準に適合し、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可するものです。いずれも特定行政庁の判断によるもので、申請すれば必ず通るものではありません。これを前提に土地を買うのは、通らなかった場合を引き受けるということです。
買う前に自分で確認できますか?
できます。市区町村の建築指導課(または道路担当課)で、その道が建築基準法上の何号の道路にあたるかを照会できます。道路種別図を窓口やWebで公開している自治体も多くあります。所有者でなくても、検討段階でも照会できます。仲介から資料が出るのを待つ必要はありません。重要事項説明で説明される事項ですが、それは契約の直前です。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和25年

    確認日 2026-09-02

  2. 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和27年

    確認日 2026-09-02

  3. 国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和27年

    確認日 2026-09-02

  4. 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和27年

    確認日 2026-09-02

  5. 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)

    国土交通省 令和8年4月1日施行版

    確認日 2026-09-02

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