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税金 10分で読めます 3,645字 (2026年8月19日公開)

固定資産税 こていしさんぜい

固定資産税とは、土地・家屋などの所有者に市町村(東京23区は都)が課す税。毎年1月1日時点の所有者に課され、その年の分を全額負担する。

この記事の要点

  1. 固定資産税は普通税。使いみちは定められていない。目的税は都市計画税のほう
  2. 課されるのは1月1日時点の所有者。年の途中で売っても、その年の納税義務者は変わらない
  3. 売買では日割りで精算するのが慣行だが、法律上の義務ではない
  4. 税額は「課税標準額 × 税率」。売買価格ではなく評価額をもとにする
  5. 住宅用地には課税標準を大きく下げる特例がある
  6. 評価に納得できない場合、審査の申出という手続きがある
目次(8項目)

固定資産税とは、土地・家屋・償却資産の所有者に対し、その所在地の市町村(東京23区は都)が課す税です。

不動産を持っている限り、毎年かかり続けます。買うときの諸費用と違い、一度で終わらない費目です。

何のための税か

「何に使われているのか」は、条文で答えが出ます。

同じ納税通知書で届く都市計画税は、こちらは目的税です。条文に使いみちが書いてあります。

「固都税」と呼ばれるが、性質は違う

固定資産税(普通税)

  • 使いみちは定められていない
  • 市町村の一般の財源になる
  • 都市計画区域の内外を問わず課される

地方税法5条2項2号。

都市計画税(目的税)

  • 都市計画事業・土地区画整理事業の費用に充てる
  • 原則として市街化区域内の土地・家屋にかかる
  • 課すかどうか・税率は市町村が決める(上限0.3%)

地方税法702条1項。

まとめて届くため1つの税に見えますが、根拠も性質も別です。市街化調整区域なら都市計画税がかからないことがあります。

★この違いは、納得のしかたに効きます。「道路が直らないのに固定資産税を払っている」という言い方は、制度の上では成り立ちません。 固定資産税は特定の事業の対価として集めているものではないからです。逆に都市計画税は、条文に書かれた事業のための税です。

誰に、いつ時点で課されるのか

これが最も誤解されやすい点です。年の途中で売っても、その年の納税義務者は売主のままです。

日割り精算は、慣行であって義務ではない

とはいえ、7月に引き渡した物件の1年分を売主が負担するのは、感覚に合いません。そこで実務では日割りで精算します。

売買のときの精算
  1. 市町村は売主に課税する

    1月1日時点の所有者だから。ここは変えられない

  2. 引渡し日を境に、期間で按分する

    引渡し日の前日までを売主、当日以降を買主とすることが多い

  3. 買主が、自分の負担分を売主へ支払う当事者間の取り決め

    決済のときに、残代金と一緒に精算する

  4. 納税は売主が行う

    市町村との関係は変わらない

精算は当事者間の合意によるもので、法律上の義務ではない。契約書に定めがある。

税額はどう決まるのか

固定資産税の計算

税額 = 課税標準額 × 税率

課税標準額
固定資産課税台帳の評価額をもとに、特例などを適用した後の額
税率
標準税率は1.4%。市町村が条例で定める

売買価格ではなく、評価額をもとにする。市場の値段とは別の物差し。

評価額は原則として3年ごとに評価替えが行われます。その間の年度は、原則として据え置かれます。仕組みは総務省の説明[2]にあります。

住宅用地の特例

住宅の敷地には、課税標準額を大きく引き下げる措置があります。

住宅用地の区分

小規模住宅用地

  • 1戸あたり200平方メートルまでの部分
  • 課税標準額の軽減の幅が最も大きい
  • 都市計画税にも軽減がある(幅は異なる)

多くの戸建て・マンションはここに収まる。

一般住宅用地

  • 200平方メートルを超える部分
  • 小規模住宅用地より軽減の幅は小さい
  • 家屋の床面積の10倍までが上限

広い敷地の場合に関係してくる。

投資として持つ場合

固定資産税は、毎年かかる経費です。収支の計算に必ず入れる必要があります。

収支に入れるときの注意

4つ目は見落とされがちです。建物の固定資産税は、築年数が経ってもゼロにはなりません。 減価償却が終わって帳簿上の価値が消えても、固定資産税は課され続けます。この2つは別の制度です(減価償却を参照)。

実質利回りの計算に固定資産税を入れる方法は、実質利回りにまとめました。

新築の住宅には、期間限定の減額がある

新築の住宅には、一定期間だけ家屋の固定資産税を減額する措置があります。

新築住宅の減額が終わるとき
  1. 新築から数年間

    家屋の固定資産税が減額される

    対象や期間は住宅の種類(一般・認定長期優良住宅など)や構造で分かれる

  2. 期間が終わる

    減額が外れ、税額が上がる

    建物の評価額は下がっているが、減額が消えるぶんの影響のほうが大きいことがある

  3. その後

    評価替えのたびに、家屋の評価額は下がっていく

    ただし下限があり、ゼロにはならない

評価に納得できないとき

固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合、固定資産評価審査委員会へ審査の申出をする手続きがあります。

★審査の申出は「納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日まで」です(地方税法432条1項)。据置年度には、そもそも価格そのものを争えないという制限もあります。手続きと期限は固定資産税の評価に不服があるときにまとめました。

よくある質問

固定資産税は、何のために課される税ですか?
使いみちを定めた税ではありません。地方税法5条は市町村税を普通税と目的税に分け、固定資産税を普通税として挙げています(同条2項2号)。普通税は使途が特定されず、市町村の一般の財源になります。一方、同じ納税通知書で届く都市計画税は目的税で、地方税法702条1項に「都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため」と使途が書かれています。2つは別の税です。
年の途中で売ったら、固定資産税はどうなりますか?
その年の納税義務者は、1月1日時点の所有者のままです。市町村は売主へ課税し続けます。実務では、引渡し日を境に日割りで精算し、買主が負担分を売主へ支払う慣行があります。ただしこれは当事者間の取り決めであって、法律上の義務ではありません。契約書に精算の方法が書かれているので、起算日(1月1日か4月1日か)も含めて確認してください。
なぜ売買価格と税額が釣り合わないのですか?
税額の計算に使うのは売買価格ではなく、固定資産課税台帳に登録された評価額だからです。評価額は総務大臣が定める評価基準にもとづいて市町村が決め、原則として3年ごとに評価替えが行われます。市場での売買価格とは別の物差しなので、ずれが生じます。
住宅用地の特例とは何ですか?
住宅の敷地について、課税標準額を引き下げる措置です。小規模住宅用地(1戸あたり200平方メートルまでの部分)と、それを超える一般住宅用地とで軽減の幅が分かれています。この特例があるため、更地にすると税額が上がることがあります。空き家を取り壊すかどうかの判断で、ここが効いてきます。
評価額に納得できない場合はどうすればよいですか?
固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合、固定資産評価審査委員会へ審査の申出をする手続きがあります。申出には期限があり、原則として台帳に価格を登録した旨の公示の日から納税通知書の交付を受けた日後3か月以内とされています。まずは課税明細書を確認し、市町村の資産税課へ相談してください。
都市計画税とは違うものですか?
別の税です。都市計画税は市街化区域内の土地・家屋に課される目的税で、固定資産税とあわせて納税通知書が届くことが多いため、まとめて「固都税」と呼ばれます。税率の上限は0.3%とされており、市町村によって異なります。住宅用地の特例は都市計画税にもありますが、軽減の幅は固定資産税とは違います。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和25年

    確認日 2026-09-02

  2. 地方税制度|固定資産税

    総務省

    確認日 2026-08-19

  3. 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)

    国土交通省 令和8年4月1日施行版

    確認日 2026-09-02

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