不動産知識大全 業者が言わない数字まで、検算して解説する。
法律・制度 9分で読めます 3,319字

建築確認と検査済証 けんちくかくにんとけんさずみしょう

建築確認と完了検査は別の手続きで、確認だけ受けて検査を受けていない建物が存在する。検査済証が無いと、増築や用途変更のときに現況調査が必要になる。

この記事の要点

  1. 確認と検査は別の手続き。確認済証はあるが検査済証は無い、が起こりうる
  2. 2025年4月から確認の対象が変わった。「2階以上または延べ面積200㎡超」で括られている
  3. 検査済証が無いと、増築や用途変更で既存不適格の緩和が使えないことがある
  4. 着手時が特定できないと、建物全体を現行の規定に適合させることになる
  5. 紛失していても、台帳記載事項証明書などで交付の有無は調べられる
目次(6項目)

建築確認とは、建物を建てる前に、その計画が建築基準法などに合っているかを役所(または指定確認検査機関)に確かめてもらう手続きです。通ると確認済証という書面が出ます。

検査済証は、工事が終わった後の検査に通ったときに出る書面です。★この2つは別の手続きで、時期も違います。

中古の住宅で問題になるのは、検査済証が無い建物です。

確認と検査は、別の手続きである

着工前と完了後で、2回ある
  1. 着工前 — 建築確認確認済証

    計画が建築基準関係規定に適合することについて確認を受ける(6条1項)

  2. 工事

    この間に計画が変更されることがある

  3. 完了後4日以内 — 完了検査の申請

    工事が完了した日から4日以内に到達するように申請する(7条2項)

  4. 受理から7日以内 — 検査検査済証

    適合を認めたときに検査済証が交付される(7条4項・5項)

★2つは別の手続きなので、確認済証はあるが検査済証は無い、という状態が起こりえます。

条文は建築基準法[1]6条と7条にあります。

中古で問題になるのは、この「無い」ほうです。

2025年4月から、確認が要る建物の区分が変わった

建築基準法6条1項は、確認が要る建物を3つ挙げています。

建築確認が要る建物(6条1項)

規模で決まるもの

  • 1号 … 別表第一(い)欄の特殊建築物で、その用途の部分が200㎡超
  • 2号 … 1号以外で、2以上の階数を有し、または延べ面積が200㎡超
  • 大規模の修繕・大規模の模様替も同じ

★構造の種別(木造かどうか)では分かれていません。

場所で決まるもの

  • 3号 … 1・2号以外で、都市計画区域・準都市計画区域内
  • 準景観地区内、または知事が指定する区域内も同じ
  • 規模を問わない

平屋・200㎡以下でも、都市計画区域の中なら確認が要ります。

★2025年4月施行の改正でこの区分になりました。「木造3階建て以上」「木造以外は2階建て以上」といった旧区分で書かれた説明は、いまの条文と合っていません。

検査済証が無いまま使われている建物がある

7条の6は、6条1項1号・2号の建築物を新築する場合などについて、検査済証の交付を受けた後でなければ使用してはならないとしています。

ただし、この使用制限には例外があります。

検査済証の前に使えるか(7条の6第1項)

3つの例外のいずれかに当たるか

  • 当たる

    仮に使用し、または使用させることができる

    • 特定行政庁が、安全上・防火上・避難上支障がないと認めたとき
    • 建築主事等または指定確認検査機関が、大臣の定める基準に適合と認めたとき
    • ★検査の申請が受理された日から7日を経過したとき

    例外は3つ。3つ目は、認定を受けなくても時間の経過だけで足りる。

  • 当たらない

    検査済証の交付を受けるまで使えない

    • 使用させることも禁じられている
    • 新築のほか、避難施設等に関する工事を含む増改築等も対象
    • 共同住宅以外の住宅と、居室を有しない建築物は除かれる

    住宅の多くは、この使用制限の対象外である。

★3つ目の例外があるため、検査を申請したまま検査を受けずに使い始めることが、制度上は起こりえます。検査済証が無い建物が存在する理由の1つです。

無いと、増築と用途変更で詰まる

検査済証が無いこと自体を罰する条文はありません。効いてくるのは、次に手を入れるときです。

既存の建物を増築・改築・移転・大規模の修繕/模様替、または用途変更するとき、手を入れない既存部分も現行の規定に適合している必要があります。 法令の改正で適合しなくなった部分(既存不適格)には緩和がありますが、その緩和を使うには条件があります。

判断の順序は、国土交通省の既存建築物の現況調査ガイドライン[2](第4版)が示しています。

既存不適格の緩和が使えるか(現況調査ガイドライン)

直近の建築等の工事に、検査済証の交付を受けているか

  • 受けている

    適合しなくなる改変がされていなければ、緩和が使える

    • 居室の窓がふさがれているなど、建築等に当たらない改変が無いこと
    • 政令で定める範囲内の増築等・用途変更に限る
    • 検査済証は、その時点の適合を示す書面として働く

    買う前に有無を確かめる価値は、ここにある。

  • 受けていない

    現況調査で、着手時の法令に適合していたことを確認する

    • 一級・二級・木造建築士、または指定確認検査機関が行う
    • ★適合状況が確認できない部分は、現行の規定に適合させる
    • ★着手時を特定できない場合は、建物全体を現行の規定に適合させる

    報告書は、検査済証とみなされるものではない。

国土交通省の現況調査ガイドライン(第4版)によります。

「着手時を特定できない場合は、建物全体を現行の規定に適合させる」 — ここがいちばん重い結論です。

紛失していても、有無は調べられる

検査済証の交付状況を調べる順序

★1つ目から3つ目までは、買う前にできます。4つ目から先は、調査の費用と時間がかかります。

「紛失した」と「交付されていない」は違います。 調べるまで分かりません。

これらの書面が無いと、確認申請書の副本と同等の図書として、工事請負契約書、登記事項証明書固定資産税課税台帳登録事項証明書、固定資産税の課税明細書などから着手時を明らかにすることになります。

買う前に確かめる

中古で確かめる順序(早いほど費用が小さい)
  • 売主が検査済証を持っているか(無料・即日)1 
  • 特定行政庁で台帳記載事項証明書を取る(数百円・数日)1 
  • 建築士に現況調査を依頼する(費用と時間がかかる)1 

★上の2つで足りることが多く、そこで「無い」と分かれば、増築や用途変更の計画を立て直せます。

融資の段階で止まると、契約の後になります。 手付解除か違約金の話になる前に、契約前に確かめてください。

接道義務を満たさない土地では、そもそも建て替えができません(→ 再建築不可物件)。検査済証の有無は、それとは別の論点です。 建て替えられる土地でも、検査済証が無ければ増築で詰まることがあります。

よくある質問

建築確認と検査済証は、何が違いますか?
手続きが別です。建築基準法6条1項は、工事に着手する前に計画が建築基準関係規定に適合することについて確認を受け、確認済証の交付を受けなければならないと定めています。7条1項は、工事が完了したら検査を申請しなければならないとし、5項が適合を認めたときに検査済証を交付するとしています。★確認は着工前、検査は完了後です。確認だけ受けて完了検査を受けていない建物が存在するのは、この2つが別の手続きだからです。
どの建物に建築確認が要りますか?
建築基準法6条1項が3つ挙げています。1号は別表第一(い)欄の特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの。2号は1号以外で、2以上の階数を有し、または延べ面積が200平方メートルを超えるもの。3号は1・2号以外で、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区内、または知事が指定する区域内の建築物です。★2025年4月施行の改正でこの区分になりました。木造3階建て以上といった旧区分で書かれた説明は、いまの条文と合っていません。
10平方メートル以内の増築なら確認は要りませんか?
場所によります。建築基準法6条2項は、防火地域および準防火地域の「外」で、増築・改築・移転に係る部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときは1項を適用しない、と定めています。★防火地域・準防火地域の中では、10平方メートル以下でも確認が要ります。自分の土地がどちらかは、市町村の都市計画情報で確かめられます。
検査済証が無いと、何が起きますか?
増築や用途変更のときに詰まります。国土交通省の現況調査ガイドラインは、既存不適格の緩和が使えるのを「直近の建築等の工事について検査済証の交付を受けた後に適合しなくなる改変がされていない場合」または「検査済証は無いが、現況調査で着手時の法令に適合していたと確認できた場合」に限っています。★適合状況が確認できない部分は、現行の規定に適合させることが必要になります。さらに、直近の工事の着手時を特定できない場合は、建物全体を現行の規定に適合させることになります。
検査済証を紛失した場合はどうしますか?
交付されていたかどうかは調べられます。現況調査ガイドラインは、特定行政庁に「処分等概要書」の閲覧を請求することや「台帳記載事項証明書」の発行を受けることで、交付状況の調査が可能だとしています。★調べた結果「交付されていなかった」と分かることもあります。その場合は、直近の工事の着手時を特定する調査へ進みます。確認申請書の副本の第三面に工事着手予定年月日が書かれています。
現況調査の報告書があれば、検査済証の代わりになりますか?
なりません。国土交通省は「本ガイドラインに基づく現況調査の報告書は、検査済証とみなされるものではない」としており、増改築時の既存不適格調書の添付資料として活用するものと位置づけています。★調査は一級建築士・二級建築士・木造建築士、または指定確認検査機関が行います。費用も時間もかかるので、買う前に検査済証の有無を確かめるほうが先です。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 昭和25年

    確認日 2026-09-02

  2. 既存建築物の現況調査ガイドライン(第4版)

    国土交通省 令和6年12月策定・第4版 令和8年3月

    確認日 2026-09-02

この分野の全体像

関連する解説