建築確認と検査済証 けんちくかくにんとけんさずみしょう
建築確認と完了検査は別の手続きで、確認だけ受けて検査を受けていない建物が存在する。検査済証が無いと、増築や用途変更のときに現況調査が必要になる。
この記事の要点
- 確認と検査は別の手続き。確認済証はあるが検査済証は無い、が起こりうる
- 2025年4月から確認の対象が変わった。「2階以上または延べ面積200㎡超」で括られている
- 検査済証が無いと、増築や用途変更で既存不適格の緩和が使えないことがある
- 着手時が特定できないと、建物全体を現行の規定に適合させることになる
- 紛失していても、台帳記載事項証明書などで交付の有無は調べられる
目次(6項目)
建築確認とは、建物を建てる前に、その計画が建築基準法などに合っているかを役所(または指定確認検査機関)に確かめてもらう手続きです。通ると確認済証という書面が出ます。
検査済証は、工事が終わった後の検査に通ったときに出る書面です。★この2つは別の手続きで、時期も違います。
中古の住宅で問題になるのは、検査済証が無い建物です。
確認と検査は、別の手続きである
着工前 — 建築確認確認済証
計画が建築基準関係規定に適合することについて確認を受ける(6条1項)
工事
この間に計画が変更されることがある
完了後4日以内 — 完了検査の申請
工事が完了した日から4日以内に到達するように申請する(7条2項)
受理から7日以内 — 検査検査済証
適合を認めたときに検査済証が交付される(7条4項・5項)
★2つは別の手続きなので、確認済証はあるが検査済証は無い、という状態が起こりえます。
条文は建築基準法[1]6条と7条にあります。
★中古で問題になるのは、この「無い」ほうです。
2025年4月から、確認が要る建物の区分が変わった
建築基準法6条1項は、確認が要る建物を3つ挙げています。
規模で決まるもの
- 1号 … 別表第一(い)欄の特殊建築物で、その用途の部分が200㎡超
- 2号 … 1号以外で、2以上の階数を有し、または延べ面積が200㎡超
- 大規模の修繕・大規模の模様替も同じ
★構造の種別(木造かどうか)では分かれていません。
場所で決まるもの
- 3号 … 1・2号以外で、都市計画区域・準都市計画区域内
- 準景観地区内、または知事が指定する区域内も同じ
- 規模を問わない
平屋・200㎡以下でも、都市計画区域の中なら確認が要ります。
★2025年4月施行の改正でこの区分になりました。「木造3階建て以上」「木造以外は2階建て以上」といった旧区分で書かれた説明は、いまの条文と合っていません。
検査済証が無いまま使われている建物がある
7条の6は、6条1項1号・2号の建築物を新築する場合などについて、検査済証の交付を受けた後でなければ使用してはならないとしています。
★ただし、この使用制限には例外があります。
3つの例外のいずれかに当たるか
当たる
仮に使用し、または使用させることができる
- 特定行政庁が、安全上・防火上・避難上支障がないと認めたとき
- 建築主事等または指定確認検査機関が、大臣の定める基準に適合と認めたとき
- ★検査の申請が受理された日から7日を経過したとき
例外は3つ。3つ目は、認定を受けなくても時間の経過だけで足りる。
当たらない
検査済証の交付を受けるまで使えない
- 使用させることも禁じられている
- 新築のほか、避難施設等に関する工事を含む増改築等も対象
- 共同住宅以外の住宅と、居室を有しない建築物は除かれる
住宅の多くは、この使用制限の対象外である。
★3つ目の例外があるため、検査を申請したまま検査を受けずに使い始めることが、制度上は起こりえます。検査済証が無い建物が存在する理由の1つです。
無いと、増築と用途変更で詰まる
検査済証が無いこと自体を罰する条文はありません。効いてくるのは、次に手を入れるときです。
既存の建物を増築・改築・移転・大規模の修繕/模様替、または用途変更するとき、手を入れない既存部分も現行の規定に適合している必要があります。 法令の改正で適合しなくなった部分(既存不適格)には緩和がありますが、その緩和を使うには条件があります。
判断の順序は、国土交通省の既存建築物の現況調査ガイドライン[2](第4版)が示しています。
直近の建築等の工事に、検査済証の交付を受けているか
受けている
適合しなくなる改変がされていなければ、緩和が使える
- 居室の窓がふさがれているなど、建築等に当たらない改変が無いこと
- 政令で定める範囲内の増築等・用途変更に限る
- 検査済証は、その時点の適合を示す書面として働く
買う前に有無を確かめる価値は、ここにある。
受けていない
現況調査で、着手時の法令に適合していたことを確認する
- 一級・二級・木造建築士、または指定確認検査機関が行う
- ★適合状況が確認できない部分は、現行の規定に適合させる
- ★着手時を特定できない場合は、建物全体を現行の規定に適合させる
報告書は、検査済証とみなされるものではない。
国土交通省の現況調査ガイドライン(第4版)によります。
★「着手時を特定できない場合は、建物全体を現行の規定に適合させる」 — ここがいちばん重い結論です。
紛失していても、有無は調べられる
★1つ目から3つ目までは、買う前にできます。4つ目から先は、調査の費用と時間がかかります。
★「紛失した」と「交付されていない」は違います。 調べるまで分かりません。
これらの書面が無いと、確認申請書の副本と同等の図書として、工事請負契約書、登記事項証明書、固定資産税課税台帳登録事項証明書、固定資産税の課税明細書などから着手時を明らかにすることになります。
買う前に確かめる
- 売主が検査済証を持っているか(無料・即日)1 33.3%
- 特定行政庁で台帳記載事項証明書を取る(数百円・数日)1 33.3%
- 建築士に現況調査を依頼する(費用と時間がかかる)1 33.3%
★上の2つで足りることが多く、そこで「無い」と分かれば、増築や用途変更の計画を立て直せます。
★融資の段階で止まると、契約の後になります。 手付解除か違約金の話になる前に、契約前に確かめてください。
接道義務を満たさない土地では、そもそも建て替えができません(→ 再建築不可物件)。検査済証の有無は、それとは別の論点です。 建て替えられる土地でも、検査済証が無ければ増築で詰まることがあります。