更新料 こうしんりょう
更新料とは、賃貸借契約を更新するときに借主が貸主へ支払う一時金。法律上の支払義務があるものではなく、契約に定めがあって初めて発生する。
この記事の要点
- 法律に支払義務の定めは無い。契約に条項があって初めて発生する
- 契約書に一義的かつ具体的に記載され、高額に過ぎなければ、直ちに無効とはいえないとされている
- 更新には合意更新と法定更新があり、法定更新のときの扱いは契約書の書き方による
- 貸主から更新を拒むには正当の事由が要る。借主から出ていくのは自由
- 家賃の安さだけで比べない。礼金と更新料を含めた総額を、住む年数で割る
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更新料とは、賃貸借契約を更新するときに、借主が貸主へ支払う一時金です。賃料の1〜2か月分とされることが多く、首都圏では広く行われています。
そもそも「更新」に2種類ある
ここを分けないと、更新料の話が噛み合いません。
合意更新
- 当事者が改めて合意して更新する
- 新しい契約書を交わすことが多い
- 期間も改めて定める
- 更新料の条項があれば発生する
実務でいう「更新」は、通常こちら。
法定更新
- 通知が無いまま期間が満了した場合
- 従前と同一の条件で更新したものとみなされる
- ただし期間の定めは無いものとなる
- 更新料の扱いは契約書の書き方による
手続きをしなくても、契約は続く。
有効性は、どう判断されているか
更新料の条項が消費者契約法[2]10条により無効ではないか、が争われてきました。
つまり実務上は、原則として有効です。ただし前提が2つあります。
貸主は、更新を拒めるのか
更新料の話とは別に、そもそも契約を終わらせられるのかという論点があります。ここは非対称です。
貸主から更新を拒む
- 期間満了の1年前から6月前までの通知が要る
- さらに「正当の事由」が必要(28条)
- 建物の使用を必要とする事情、従前の経過、建物の現況などが考慮される
- 立退料の申出も考慮の一要素とされる
通知しただけでは終わらない。
借主から出ていく
- 契約の定めに従って解約を申し入れる
- 通常は1〜2か月前の通知
- 理由は要らない
- 更新の時期に関係なく出られる
借主保護のための設計。
総額で比べる
更新料の有無だけで物件を比べると、判断を誤ります。家賃・礼金・更新料を合わせた総額を、住む年数で割る必要があります。
B 家賃
85,000円
礼金なし・更新料なし
2年で退去
- A 家賃1,920,000 + 礼金160,000 = 2,080,000円
- B 家賃2,040,000円
- ★Bが40,000円安い
初期費用が効いて、家賃の高いBが得。
4年住む
- A 家賃3,840,000 + 礼金160,000 + 更新料80,000 = 4,080,000円
- B 家賃4,080,000円
- ★どちらも同額
ちょうど入れ替わる点。
6年住む
- A 家賃5,760,000 + 礼金160,000 + 更新料160,000 = 6,080,000円
- B 家賃6,120,000円
- ★Aが40,000円安い
長く住むほど、家賃の安さが効く。
更新のときにやること
5つ目は見落とされがちです。更新料だけを見ていると、火災保険料・保証委託料の更新が同じ月に重なって想定より大きな支出になります。
よくある質問
更新料を払う義務はありますか?
法律に支払義務を定めた規定はありません。契約書に更新料の条項があって初めて発生します。契約書に定めが無ければ、更新の際に請求されても支払う根拠がありません。まず自分の契約書を読んでください。金額、支払時期、法定更新になった場合の扱いが書かれているはずです。書かれていない事項について、後から慣行を理由に請求することはできません。
更新料の条項は有効なのですか?
最高裁判所第二小法廷の平成23年7月15日判決は、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項について、更新料の額が賃料の額や更新される期間等に照らして高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条により無効とはいえない、という趣旨の判断を示しました。つまり原則として有効です。ただし「一義的かつ具体的に記載されていること」と「高額に過ぎないこと」が前提になっています。
法定更新になったら更新料は要りますか?
契約書の書き方によります。借地借家法26条1項により、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新しない旨の通知をしなかったときは、従前と同一の条件で更新したものとみなされます(ただし期間の定めは無いものとなります)。この法定更新の場合にも更新料を支払う旨が契約書に明記されていれば請求の根拠になりますが、合意更新のみを前提とした書き方であれば争いになります。契約書の文言を確かめてください。
更新のときに家賃を上げると言われました
賃料の増減については借地借家法32条に定めがあり、一方が請求すればただちに変わるものではありません。協議が調わなければ、増額を正当とする裁判が確定するまでは、借主が相当と認める額を支払えば足りるとされています。更新料の請求と賃料の増額請求は別のものです。両方を同時に提示された場合、それぞれについて根拠を確かめてください。
更新料のある物件は損ですか?
単独では判断できません。家賃・礼金・更新料を合わせた総額を、住む予定の年数で割って比べる必要があります。家賃8万円・礼金2か月・更新料1か月(2年ごと)の物件と、家賃8.5万円で礼金も更新料も無い物件では、2年で退去するなら後者が4万円安く、6年住むなら前者が4万円安くなります。4年でちょうど入れ替わります。何年住むかを決めてから比べてください。
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