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家賃債務保証 やちんさいむほしょう

家賃債務保証とは、借主が賃料を払えないときに保証会社が貸主へ立て替える仕組み。立て替えられた分は後から借主へ請求される。支払いが免除されるわけではない。

この記事の要点

  1. 立て替えは代位弁済。借主の債務は消えず、請求先が保証会社に変わるだけ
  2. 2020年の民法改正で個人根保証に極度額の定めが必須になり、保証会社の利用が広がった
  3. 国の登録制度はあるが任意。登録が無くても営業できる
  4. 保証会社が契約を解除したり明渡しを迫る条項は、無効とされた例がある
  5. 費用は初回と年次の両方。更新料・火災保険と時期が重なる
目次(6項目)

家賃債務保証とは、借主が賃料を払えなくなったときに、保証会社が貸主へ立て替える仕組みです。連帯保証人の代わりとして広く使われています。

最も誤解されているのは、次の点です。

お金がどう動くか

滞納が起きたときの流れ
  1. 借主が賃料を払えない

    引き落としの不能、入金の遅れ

  2. 保証会社が貸主へ立て替える(代位弁済)ここまでは早い

    貸主の側では、賃料が予定どおり入る

  3. 保証会社が借主へ請求する(求償)

    立て替えた額を、借主から回収する

  4. 遅延損害金が加算されることがある

    契約の定めによる。元の賃料より重くなりうる

債務は消えていない。持ち主が貸主から保証会社に移っただけである。

なぜ、これほど一般化したのか

理由は法改正にあります。

賃貸借の保証は、将来発生する不特定の賃料債務を担保するものなので、この規定の対象になります。

改正が、貸す側と保証人側にもたらしたもの

個人の連帯保証人

  • 契約書に極度額を明記しなければ無効
  • 金額が目に見えるため、頼まれた側が躊躇する
  • 極度額を超える部分は回収できない
  • 保証人の資力を貸主が確かめる必要がある

貸主から見た確実性が下がった。

保証会社

  • 法人なので個人根保証の規定の対象外
  • 極度額の定めを要しない
  • 資力の確認が要らない
  • 回収の実務も引き受ける

貸主にとっては手間が減る。

国の登録制度は、任意である

追い出し条項は、無効とされた

滞納が起きたときに何ができるのか、という点で重要な判断があります。

費用はいくらか

家賃8万円・初回50%・年次1万円の場合

2年住む

50,000

4年住む

70,000

6年住む

90,000

契約の前に確かめること

保証委託契約を結ぶ前に

4つ目を見ておいてください。原状回復費まで保証の範囲に入っている契約では、退去時に貸主と借主の間で争いになる前に、保証会社が支払って借主へ求償する流れになりえます。原状回復の負担区分については敷金にまとめました。

よくある質問

保証会社が立て替えたら、その分は払わなくてよいのですか?
払います。保証会社の立替えは代位弁済であり、支払った保証会社は借主に対して求償権を取得します。つまり請求先が貸主から保証会社に変わるだけで、債務が消えるわけではありません。しかも保証会社からの請求は、貸主からの請求より厳しくなることがあります。遅延損害金が加算される契約もあります。立て替えられた時点で解決したと考えないでください。
なぜ連帯保証人がいても保証会社が必要なのですか?
2020年4月に施行された改正民法により、個人が保証人となる根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じないこととされました(民法465条の2)。賃貸借の保証は将来発生する不特定の債務を担保するため、この規定の対象になります。極度額を明示すると保証人が躊躇しやすく、また上限を超える部分は回収できません。貸主から見て個人保証の確実性が下がったことが、保証会社の利用が広がった背景にあります。
保証会社は国の許可が要るのですか?
要りません。国土交通省の家賃債務保証業者登録制度は平成29年に告示で創設された制度ですが、任意の登録です。登録しなくても家賃債務保証業を営むことができます。したがって登録の有無は「営業が認められているか」ではなく「国が示した要件を満たすと届け出ているか」を示します。判断材料の一つにはなりますが、未登録であること自体が違法を意味するものではありません。
滞納したら勝手に鍵を換えられたり、追い出されたりしますか?
そうした条項の効力は否定されています。最高裁判所第一小法廷の令和4年12月12日判決は、家賃債務保証業者が一定の賃料滞納があったときに無催告で賃貸借契約を解除できるとする条項と、所定の要件を満たした場合に賃貸物件の明渡しがあったものとみなすことができるとする条項について、消費者契約法10条により無効とし、その使用の差止めを認めました。実力での追い出しは、そもそも許されません。
費用はいくらかかりますか?
初回の保証料が賃料の0.5〜1か月分程度、その後は年ごとに1万円前後の更新料という形が多く見られます。家賃8万円で初回50%・年次1万円なら、2年で50,000円、4年で70,000円、6年で90,000円です。契約の更新料や火災保険の更新と時期が重なることが多いため、更新の年にいくら出ていくかを合計で把握しておく価値があります。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 民法(明治二十九年法律第八十九号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 明治29年

    確認日 2026-08-18

  2. 住宅:家賃債務保証業者登録制度

    国土交通省

    確認日 2026-08-19

  3. 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 平成12年

    確認日 2026-08-19

  4. 裁判例検索

    裁判所

    確認日 2026-08-19

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