借地権 しゃくちけん
借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のこと。土地は地主のもので、建物だけを所有する。価格は安いが、地代・更新料・承諾料と、融資の付きにくさが伴う。
この記事の要点
- 土地は地主のもの。所有するのは建物だけ
- 安い代わりに、地代・更新料・承諾料が継続的にかかる
- 融資が付きにくい。売るときの買主も同じ壁に当たる
- 1992年8月施行の借地借家法で新法になった。それ以前の契約は旧法のまま
- 定期借地権は期間の満了で終了する。更新の余地が無い
借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利です。
土地は地主のもの。所有するのは建物だけです。所有権の物件より価格が安く、同じ予算で広さや立地を取れることがあります。その安さが何と引き換えなのかを見ていきます。
何を持っていて、何を持っていないのか
借地権付きの物件
- 建物だけが自分のもの
- 建て替え・売却に地主の承諾が要ることが多い
- 土地の固定資産税はかからない(地代を払う)
- 融資が付きにくい
価格が抑えられる代わりに、制約が伴う。
土地の固定資産税がかからない点は、しばしば利点として挙げられます。ただし地代を払っているので、負担が消えるわけではありません。
継続的にかかるお金
購入価格には現れず、持っている間ずっと出ていく費目があります。
- 地代(毎月)333.3%
- 更新料(更新のたび)222.2%
- 建替承諾料・増改築承諾料(そのつど)222.2%
- 譲渡承諾料(売るとき)222.2%
帯の幅は「発生する場面の多さ」を示したもので、金額の比ではない。金額は契約と地域によって大きく変わる。
融資が付きにくい
これが出口に効いてきます。
金融機関が担保として評価する
土地を担保に取れないため、評価が所有権より大きく下がる
融資の条件が厳しくなる
借入額が抑えられる、期間が短くなる、そもそも扱わない金融機関もある
買える人が限られる
現金で買える人か、条件の合う融資を受けられる人だけが買主になる
売却に時間がかかる
買主の母数が小さい。急げば価格を下げるしかない
自分が買えても、次に買う人が同じ壁に当たる。
価格の安さは、この売りにくさの裏返しでもあります。実質利回りや再建築不可物件にも書きましたが、高い利回り・安い価格には理由があります。
金融機関によっては、地主の承諾書(融資承諾・抵当権設定承諾)を求めます。地主が応じない場合、融資そのものが組めません。購入前に確認できることです。
旧法と新法
ここが中古で取得するときに最も重要な確認点です。
1921年(大正10年)
借地法が制定される
借地人の保護に厚い。更新を拒むには地主に正当な事由が必要とされた
1992年8月1日
借地借家法が施行される(新法)
存続期間が整理され、更新のない定期借地権が設けられた
以降
施行前に設定された借地権には、引き続き旧法が適用される
「いつ設定されたか」で適用される法律が変わる
定期借地権は、更新できない
新法で設けられた類型です。普通借地権とは性質がまったく違います。
普通借地権
- 期間が満了しても更新できる
- 地主が更新を拒むには正当な事由が必要
- 建物買取請求権が認められる場合がある
- 実務上、住み続けられることが多い
期限を意識せずに済む。
定期借地権
- 期間の満了で確定的に終了する
- 更新の余地が無い
- 原則として建物を取り壊し、更地で返す
- 残り期間が短いほど価値が下がる
終わりが最初から決まっている。
定期借地権にはいくつかの類型があり、存続期間と、期間満了時の扱いが違います。マンションの場合、残りの期間がそのまま資産価値に効きます。 残り30年と残り10年では、同じ間取りでも別物です。
地主が変わっても、住み続けられるか
土地が売られて地主が変わっても、新しい所有者に対して借地権を主張できます。建物の登記が、その対抗要件になっているためです。
逆にいえば、建物が未登記だと、この保護を受けられません。 古い借地では建物が未登記のままのことがあります。取得するときに登記事項証明書[2]で確認してください。
買う前に確認すること
最後の点は法律の話ではありませんが、実務では最も効くことがあります。 建て替え、売却、更新。そのたびに地主との交渉が要ります。