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借地権 しゃくちけん

借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のこと。土地は地主のもので、建物だけを所有する。価格は安いが、地代・更新料・承諾料と、融資の付きにくさが伴う。

この記事の要点

  1. 土地は地主のもの。所有するのは建物だけ
  2. 安い代わりに、地代・更新料・承諾料が継続的にかかる
  3. 融資が付きにくい。売るときの買主も同じ壁に当たる
  4. 1992年8月施行の借地借家法で新法になった。それ以前の契約は旧法のまま
  5. 定期借地権は期間の満了で終了する。更新の余地が無い
目次(7項目)

借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利です。

土地は地主のもの。所有するのは建物だけです。所有権の物件より価格が安く、同じ予算で広さや立地を取れることがあります。その安さが何と引き換えなのかを見ていきます。

何を持っていて、何を持っていないのか

所有権と借地権

所有権の物件

  • 土地も建物も自分のもの
  • 建て替えも売却も自分で決められる
  • 固定資産税は土地と建物の両方にかかる
  • 融資が付きやすい

自由度が高い代わりに、価格も高い。

借地権付きの物件

  • 建物だけが自分のもの
  • 建て替え・売却に地主の承諾が要ることが多い
  • 土地の固定資産税はかからない(地代を払う)
  • 融資が付きにくい

価格が抑えられる代わりに、制約が伴う。

土地の固定資産税がかからない点は、しばしば利点として挙げられます。ただし地代を払っているので、負担が消えるわけではありません。

継続的にかかるお金

購入価格には現れず、持っている間ずっと出ていく費目があります。

借地権に伴う費用(発生の仕方が違う)
  • 地代(毎月)3
  • 更新料(更新のたび)2
  • 建替承諾料・増改築承諾料(そのつど)2
  • 譲渡承諾料(売るとき)2

帯の幅は「発生する場面の多さ」を示したもので、金額の比ではない。金額は契約と地域によって大きく変わる。

融資が付きにくい

これが出口に効いてきます。

なぜ買い手が限られるのか
  1. 金融機関が担保として評価する

    土地を担保に取れないため、評価が所有権より大きく下がる

  2. 融資の条件が厳しくなる

    借入額が抑えられる、期間が短くなる、そもそも扱わない金融機関もある

  3. 買える人が限られる

    現金で買える人か、条件の合う融資を受けられる人だけが買主になる

  4. 売却に時間がかかる

    買主の母数が小さい。急げば価格を下げるしかない

自分が買えても、次に買う人が同じ壁に当たる。

価格の安さは、この売りにくさの裏返しでもあります。実質利回り再建築不可物件にも書きましたが、高い利回り・安い価格には理由があります。

金融機関によっては、地主の承諾書(融資承諾・抵当権設定承諾)を求めます。地主が応じない場合、融資そのものが組めません。購入前に確認できることです。

旧法と新法

ここが中古で取得するときに最も重要な確認点です。

借地権の制度の変わり目
  1. 1921年(大正10年)

    借地法が制定される

    借地人の保護に厚い。更新を拒むには地主に正当な事由が必要とされた

  2. 1992年8月1日

    借地借家法が施行される(新法)

    存続期間が整理され、更新のない定期借地権が設けられた

  3. 以降

    施行前に設定された借地権には、引き続き旧法が適用される

    「いつ設定されたか」で適用される法律が変わる

定期借地権は、更新できない

新法で設けられた類型です。普通借地権とは性質がまったく違います。

普通借地権と定期借地権

普通借地権

  • 期間が満了しても更新できる
  • 地主が更新を拒むには正当な事由が必要
  • 建物買取請求権が認められる場合がある
  • 実務上、住み続けられることが多い

期限を意識せずに済む。

定期借地権

  • 期間の満了で確定的に終了する
  • 更新の余地が無い
  • 原則として建物を取り壊し、更地で返す
  • 残り期間が短いほど価値が下がる

終わりが最初から決まっている。

定期借地権にはいくつかの類型があり、存続期間と、期間満了時の扱いが違います。マンションの場合、残りの期間がそのまま資産価値に効きます。 残り30年と残り10年では、同じ間取りでも別物です。

地主が変わっても、住み続けられるか

土地が売られて地主が変わっても、新しい所有者に対して借地権を主張できます。建物の登記が、その対抗要件になっているためです。

逆にいえば、建物が未登記だと、この保護を受けられません。 古い借地では建物が未登記のままのことがあります。取得するときに登記事項証明書[2]で確認してください。

買う前に確認すること

借地権付き物件を検討するときの7点

最後の点は法律の話ではありませんが、実務では最も効くことがあります。 建て替え、売却、更新。そのたびに地主との交渉が要ります。

よくある質問

借地権付きの物件は買ってもよいのですか?
条件が合えば選択肢になります。同じ立地の所有権の物件より価格が抑えられるため、予算に対して広さや立地を取れることがあります。ただし地代・更新料・承諾料が継続的にかかり、融資が付きにくく、売るときの買い手も限られます。総額と出口を計算したうえで判断する対象、という位置づけです。
旧法と新法では何が違いますか?
1992年8月1日施行の借地借家法が新法です。それ以前に設定された借地権は、その後も旧法(借地法)が適用され続けます。旧法は存続期間や更新の扱いで借地人に手厚く、更新を拒むには地主に正当な事由が必要とされ、実際には半永久的に続くと言われてきました。新法では存続期間が整理され、更新のない定期借地権も設けられました。中古で取得する場合、どちらの借地権かは必ず確認してください。
建て替えやリフォームは自由にできますか?
建て替えや増改築には、地主の承諾が必要とされる契約が多くあります。承諾を得る際に承諾料を求められるのが通常です。承諾が得られない場合、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める手続きがあります。ただし時間と費用がかかります。
期間が満了したらどうなりますか?
普通借地権であれば更新できます。更新を拒むには地主に正当な事由が必要とされ、認められにくいのが実情です。一方、定期借地権は期間の満了で確定的に終了します。原則として建物を取り壊し、更地にして返すことになります。どちらの類型かで、将来がまったく違います。
地主が変わったら、住み続けられますか?
借地上に自分名義で登記した建物があれば、新しい土地の所有者に対しても借地権を主張できます。建物の登記が対抗の要件になっているためです。建物が未登記だと、この保護を受けられません。取得時に建物の登記を確認してください。

出典 番号は本文中の [n] に対応します

  1. 借地借家法(平成三年法律第九十号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 平成3年

    確認日 2026-08-19

  2. 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

    e-Gov 法令検索(デジタル庁) 平成16年

    確認日 2026-08-18

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